静かな環境の重要性

カナにとって静かな環境とは、音と対人関係の2つの側面があり、そのどちらも可能となったのは、支援学校ならではだったと思います。

カナは人が大好きです。
人見知りが無い分、誰とでもすぐに仲良くなりますし、おしゃべりも上手です。
ただこの頃は、内向きのカメラ(客観視)が全く機能していなくて、思い込みがあったり、空気読みや人との距離感の取り方が下手すぎて、トラブルを起こす事が沢山ありました。

特に小学校の後半は、常に友達や先生とのトラブルを巻き起こし、パニックになっていましたが、支援学校では子供より大人(先生)の人数が多かった事もあり、失敗しても大事にならず小さな失敗を繰り返す内に、少しずつ人との距離感を学んでいきました。

1番『厳しい目』を持つ同級生が居ない環境は、とても穏やかでこの時期のカナには、なくてはならない静かな環境だったと思います。

学習の方も待つ事が苦手、する事が無いのが苦手なカナにとって、誰かの答えを待つ必要もなく、常に自分が答える立場なのは、楽だったと思います。
時折り交流学習として、小学校時代の同級生が通う地域の中学校に行かせてもらいましたが、行ってる間は楽しくテンションも高いのですが、帰宅すると疲れてイライラする事も多かった様に思います。

この体験の中で

好きなこと=得意な事、出来る事

にはならないのだと、本人も自分を知るきっかけになったと思います。

それから、地域の友達と違う学校へ進学した事で、同級生と一定の距離を物理的に取ることとなり、『たまに会える友達』として仲良くする事ができました。
同じ学校に通っていれば、例えば支援級だったとしても、トラブルは日常だったでしょう。
そうなれば『久しぶりー♪』と笑顔で会える今の様な関係には、ならなかっと思います。

この頃、カナはS先生に勧められてノイズキャンセラーを使い始めました。
もともと全校の人数も少ないですし1人学級なので、そんなに大きな音がしたりはしませんが、エアコンの音などの機械音は気になる方でしたし、特に調子の悪い日は辛かった様で、ノイズキャンセラーがあると安心だった様です。

当時の本人の感覚としては、周囲が感じるよりも、そんなに必要性を感じていなかった様ですが、この後県立高校に進み集団に戻った時に、大勢の人の中はとても疲れる事や、ノイズキャンセラーが無いと『辛い』と感じることを、身をもって知る事になります。

カナは、予想する事が苦手で体験したことが全てな子だったので、どちらも体験して初めてその必要性を感じた様でした。

カナが静かな環境を手に入れる事が出来たのは、特別支援学校に在籍した事ともう一つ、

〇〇に困ってない?
〇〇試してごらん

と声がけして下さるS先生に出会っていた事です。
そもそも、生まれつきの感覚に対して
【その感覚は他の人は持ってない】
とか、
【その感覚が過敏もしくは鈍麻なのだ】
と気づくには、
誰かに教えてもらわないとわかりません。
それを教えて下さる方に出会っていた事が、静かな環境を得る第一歩だったのです。

カナも親である私も、情報を与えてくれる人に出会えた事が、幸福だったと思います。



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