#恵比寿の月3
写真展を見終わって、気に入った1枚について語り合う。
それは、偶然にも同じ写真のことであって
俺たちは、何度もその前を行き過ぎた。
他の写真を見ても、そればかり気になって
また舞い戻ってしまう。
それは雪の写真だった。
ただ静かに道に降り注ぐ、白くぼぉーっとした点。
*
いつものビアガーデンで
二人して黒ビールでほろ酔いになり、外に出る。
見上げた空には、月だ。 今夜は満月。
群青の空に吸い込まれてしまいそうな、まるい形。
「心許なくなるね」と、君が言う。
いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。