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chifuyu*さんの世界


文フリ(文学フリーマーケット)というものがあると知り
そこに知り合いの方々が参加されると伺った2019年の秋。
残念ながら日程が合わず、お邪魔できなかったけれど。

みなさんが創られた本が、自分が想像していた
同人誌とか自費出版とかのクオリティをはるかに超えていることに
軽く衝撃を受け、次回は見に行こう!と思った2020年春の回。

元々紙の本がだいすきなので、リトルプレスに興味があって
なんなら自分で自分のための1冊をいつか創ってみたいと
願っていた私にとって、とても楽しみなイベントでした。

しかし、このご時世でその思いは届かぬままとなり
時折BOOTHサイトなどを眺めておりました。

ここに3冊の本があります。
ひとめぼれで我が家にやってきたchifuyu*さん(千冬さん)の本たちです。
(写真を撮る時ひつじ🐑を探してみたけどなくて、はりねずみ添えです)

装丁を見た瞬間、わぁ、手許に置きたいと思いました。

私はまったく乙女ではないけれど、乙女チックなアイテムに若干ヨワイ。
かすれたハンコとか、レースペーパーとか、そういったものがすきで
だから、まず届いただけで、ものすごくしあわせになりました。

とっておきたいクッキーの缶や、包み紙を集める時の気分に似て。
紙の質感や印字された文字の美しさ。これは宝物に認定だ、と。

でもね、忘れてはいけません。
それは、彼女の紡ぐ物語がものすごく素敵だからなのです。


①『紅茶のある風景』

最初に手にしたのが、この本。レースペーパーが挟まれています。
ご自分で印刷されたと聞いて、はうっとなりました。

今はすっかり珈琲党になってしまったのですが
かつての紅茶党だった頃を思い出しました。

紅茶が登場するちいさな物語がたくさん詰まっています。
想像力で香りや味を想像しながら、楽しみました。

これを読む時は、自分も優雅に紅茶を入れてみたくなります。
このみの茶葉を探して、眠っているウェッジウッドのカップを
出してみましょうか。紅茶の紹介頁の茶色のうすい紙がすき。

私の中で、紅茶をこのむ方は、きちんと心の余白を楽しめる人
という勝手な想いがあるのです。私もそろそろそんな人に戻りたいな、と。

もし月にいたなら、青い星がより愛しくなるだろうな。


②『まくら工場の秘密』

表紙が何種類かある中で私はななめのストライプでした。(´∀`*)ウフフ
中に折り込まれている半透明のペーパーとひつじさんがすてき。

不思議なショートショートのような物語。
冒頭を読んだ時、だいすきな星新一や、村上春樹の掌編を想起しました。

思わず自分のまくらを見て、ぽんぽんとしたくなります。でも、深く考えだしたら、眠れなくなってしまいそうで。何が何にとって大切なのかとか、ぐるぐる考えてしまうでしょう。


③『MONATO モナート』

モナートは、とある自動人形の名前。
周りからは幽霊屋敷のように思われている、すてきな庭のあるお屋敷の奥様に仕えている男の子です。見た目は人と変わらないくらい精巧にできています。奥様がなぜモナートを迎えることになったのか。

優しく穏やかな時間が流れる中、ぐっと引き込まれる物語です。
一緒に暮らしていくうちに、自動人形にもココロが芽生えて、傍にいる人を喜ばせたいという衝動が起きる、そんな奇跡にはらはらしながら、読みました。

金色のレモネードが作れるような檸檬を手に入れたいな。🍋


私はゆっくり読書をするのがすきです。ひとつひとつ確かめながら、時に立ち止まったり、戻ったりできる上質な言葉に出会えることが楽しみです。

そんな自分の原点を思い起こしてもらえる本に出逢えて、とても嬉しかったです。

おまけにつけてくださったこれも、めちゃくちゃステキ。



千冬さん、ありがとうございました。♡♡


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いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。