君の香り
内緒で、君がつけているオード・パルファムの小瓶を買った。
夜、ほんの一滴をつけるだけで、君が傍にいるみたい。
包まれて、眠りにつく。
はじめて夜を過ごした時
君は意外な顔をして、私の髪に顔をうずめた。
「この匂い、シャンプーだったんだね。これすきなんだ」
正確にはね、シャンプーじゃなくてトリートメントだよ。
ホワイトシトラス。多分、ジャスミンの花の香り。
私もお気に入りだったから、「すき」と言われて嬉しくて
はしゃいでいっぱいキスしたね、あの夜。
何度も何度も、互いの腕を絡めて。
💠
君はその日から、香りをつけなくなった。
いつしか私の香りに君の匂いが吸収されて
格好つけてる私に、君の素朴が消されてしまってる。
そんな気がした。
私は人工的なもので、君を見失いたくないんだ。
君の本当の、本質の、本音の、飾らない君が見たいんだ。
そう思えば思う程、後戻りはできなくて。
だから、私じゃ、だめだったのかもしれないね。
今、君を支えてくれる人は、きっと自然が似合う人なんだろうな。
いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。