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ポイント&ランキング戦略は結局のところ、コスパが悪過ぎる(「獲る」より「維持」が難しい)

小説投稿サイトでランキングに載るには戦略が必要で、その戦略に関する記事を様々な方がネットにUPしてくださっている…ということを、以前の記事に書きましたが…

そんな戦略記事の数々を読んでいるうちに…そして、実際に小説投稿サイトで創作活動をしつつ、他の方々の作品も眺めているうちに、気づいたことがあります。

それは…「小説投稿サイトで人気を得るための『戦略』は、結局のところ、コストパフォーマンス(※)が恐ろしく悪い」ということです。

(※ここで言う「コスト」とは「お金」のことではありません。もっとプライスレスなアレコレのことです(後述します)。)

他の方々の作品を、ただ内容を読むだけでなく、「順位やポイントのモニタリング」をしていけば、気づくことなのですが…

小説投稿サイトでは、ただランキングの上位を獲ることより、ランキングに残り続けることの方が圧倒的に難しいのです。

たとえば…「書籍化作品」というものは、少なくとも以前はそれなりの人気があったからこそ、書籍化されているのだと思われますが…

そんな書籍化作品でさえ、タイミングによっては0ポイントの最下位ということがあるのです。

(実際に見かけ、研究のためのデータ収集の一環としてスクショしてありますが、さすがに作品名は出せません。ポイントとおもしろさは別問題ですが、ごっちゃにしている読者も存在するかと思われますので。)

かと思えば、以前はポイントの低かった作品が、特集ページに取り上げられたり、コミカライズされたりして露出が増えた途端に、とんでもなくポイント・順位を上げることもあります。

要するに、高ポイントあるいはランキング上位を獲り続けるためには「常に」読者の目に触れるよう、手を打ち続けなければならないということです。

手を止めれば、そこで下降していくだけ…一度ランキングに載ったからと言って、書籍化したからと言って、「終わり」などありません。

そして、もし書籍化されたなら…今度は出版界という別の舞台で、山のように出版される同ジャンル作品たちとの、サイトを超えた「別の戦い」が待ち受けているのです。

(おそらくソレは、小説投稿サイトの「中」での戦いとは、全く別の種類の戦いになるのではないかと…。)

元からそういった戦略が大好きで、いくらでも戦い続けられるという方ならともかく…そうでないなら、どこかでポッキリ心が折れてしまうのではないでしょうか?

少なくとも自分は「終わりの無い戦いとか、絶対無理!心が折れるに決まってる!」と考え、早々に「ガツガツした戦略」を諦めました。

そもそも、戦略に時間や手間を取られるということは、その代償として、小説自体のクオリティーが低下するリスクがあるということです。

(小説自体にかけられる時間が相対的に減るのですから、当然のことです。)

小説のクオリティーを下げてまで戦略をして、ランキング上位に載って…それで本当に、望むものを手に入れられるのでしょうか?

少しでも手を止めてしまえば、すぐに順位が落ちてしまうのに…

あるいは、手を止めずとも、運や状況次第では勝手に順位が落ちてしまうというのに…

「ランキングに載る」のは、あくまで読者に自分の作品を知ってもらうための「手段」のひとつでしかありません。

それ自体がゴールではないのです。

ランキングに載って人を集められたとしても…読者の心を掴むことができなければ、結局はその後が続かず、「戦略に力を注ぎ過ぎて疲れ果てた自分」が残るだけです。

逆に、本当に読者の心を射止め、ファンとなってもらえたなら…たとえポイントや順位が下がったとしても、継続して読み続けてもらえるとは思いませんか?

(あくまで「本当のファン」なら…。ポイントや順位に惹かれてブクマしてみただけの「にわかファン」でないなら、です。)

それに…ランキングやポイントによる集客は、別の意味でもコスパが悪いと思います。

なぜならランキングのような「ただ人目を惹くだけの(マッチング機能の一切無い)集客方法」は、ファンと同時にアンチファンをも引き寄せるからです。

小説に対する評価は、個人の好みや理解力や、その日の気分によっても変わってしまいます。

読者が自分の好みに沿って選んだならともかく…ただ「人気だから」と選んだ作品が、ちょうど良くその読者に「合っている」とは限りません

そして、そんな風に読者と作品が「合わなかった」場合…「ランキング上位なのに面白くないなんてどういうことだ!?何かズルでもしたんじゃないのか?」といった感じでアンチ化してしまう読者は、実際のところ、いるものです。

ネガティブコメントに耐性の無い物書きさんであれば、そこで心がズタボロになってしまうのではないでしょうか?

…つまりのところ、ポイント戦略、ランキング戦略で最も消費されるコストとは、作者の「精神」なのです。

世の中、「時間」や「労力」などのコストは考えても、精神的コストを一切考慮しない方が多い気がしますが…

心の疲弊・受傷は、他のどんなコストよりも「人生にとって大ダメージ」となる可能性が高いです。

普通に鬱や精神不安定の原因となりますし…場合によっては、とりかえしがつかないことになりかねませんから…。

そんな重いコストを支払ってまで得るリターンが、ポイント&ランキング戦略にあるようには、個人的に思えないのです。

むしろ、皆が皆ポイント&ランキング戦略に必死となれば、読者もまたポイントやランキングでしか作品を選ばなくなり、最低な悪循環が生まれてしまうのではないでしょうか?

そんな風に闇雲に集客を求めるより「本当に求めてくれる読者の元に、いかにして作品を届けるか」を考えていった方が、作者も読者も双方が、様々な意味で幸せになれるのではないでしょうか?

その具体的方法――「読者と作品のマッチング」をどうやって成立させていくのかについては、まだまだ試行錯誤中なのですが(「小説の検索方法の研究」も、そんな試行錯誤の一環です。そもそも一個人で取り組むような課題ではない気がするのですが、他に取り組んでくれそうな人も組織も見当たらないので…)…。

(ちなみに「読者と作品のマッチング」は、読書離れ対策の一環としても、既に別ブログで語っています。)



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