批判はした方がいいのか

 「すごく客観的にものを見ているんですね。クリティカルシンキングがちゃんとできてる」というようなことを言われることが多い。
 実際自分でも「あ、これ結構鋭い視点だな」と思うこともあり、人を説得したり論理でねじ伏せたりするのは、得意と言ってもいいと思う。
 でもそれは、あまり品がよくない。人を説得するならば、説得するだけの理由と目的があるべきだし、それがないのならば本質的に批判は「自己満足」である。

 もちろん批判的な意見が多ければ多いほど、それを建設的に取り入れることが出来れば、案はより洗練され、よりよい結果が期待できる。ゆえにたとえ「自己満足」から来たものだとしても、その内容が正当であれば、その価値を認めるべきだ、という意見はもっともなところである。

 しかしどうにも……人の感情を無視したような言い方は不愉快だし、品性が欠けているような印象が否めない。新聞の文章を読んでいると本当にそれを強く感じる。
 内容はだいたい正しい。余計なこともあまり言っていない。それなのに、何というか……無責任さに腹が立ってくる。批判ばかりで、改善案を自分から出すつもりは一切ない。(もちろんそういう仕事なのだから仕方がないのは分かる。だがやはり、気持ちの悪さを感じずにいられないのだ)

 もちろん、今私が書いているような文章もそういう系の文章の一種だ。あくまで問題や不満を「自分の外」に見出す。
 それを「誰が書いているか」ということを、読者が分からないように書く。

 そういう書き方はやはり、私の趣味に合わないと感じる。少なくとも私はそれを読んでいて、妙な気持ちになる。
 その内容がよければよいほどに「この人の本音を知りたい」と思う。
 「お前はどうなんだ?」と敵意ではなく、興味から聞きたくなる。

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