愛情についての考察
「恋愛ひとつまともにしたことない人間が何を語るいうねん!」
って言われちゃうかもしれないけど、まぁピュアガールの妄想なんで? 暖かい目で見守ってくださいな。
「今あなたは愛している人がいますか?」と聞かれたら、私は素直に「家族」と答える。
私はどれだけ控え目に言っても、家族のことが大好きだ。家族も、私のことが大好きだ。
もちろんずっとそうだったというわけではなくて、憎んでいた時期もあるし、どうでもいいと思ってた時期もある。お母さんにしてもそうだし、お父さんのにしても、そう。
人間関係っていうのは相互的なもので、相当心が強い人でない限り、相手が変わったら自分も変わってしまう。
私が一番無理をしていた時期は、やはり私は家族に対する愛情を忘れかけていたし、私が愛情を忘れて娘としての立場しか演じなくなればなるほど、両親も同じように愛情を隠して親としての立場を演じるだけになってしまう。悲しいことだ。とても悲しいことだと思う。
両親のいいところを語りたい気分なので、そうしようと思う。
お母さん。いつも優しくて、よく笑う。四十過ぎてもまだまだ美人で、すぐ照れたり恥ずかしがったりする。
おしゃべり好きで、いつも明るい。機嫌がいい時は、本当に誰に対しても親切だし、いい人。
……だめだwww悪いところばっかり思いついて、いいところだけ書こうとすると変な文章になるwww
よし、素でいこう。
あの人はいつもお馬鹿さん。いつも抜けてて、娘である私よりも家事が下手。そのくせお父さんが家のことを適当にやると怒鳴り散らす。調子が悪い日は靴下が裏返ってたくらいで怒り始める。
なんか感覚がすごく変なのに、自分が普通だと思い込んでいる。みんな自分と同じように生きていると思っているし、だからか気遣いもすごく下手。本人は人に優しくしてるつもりかもしれないけれど、迷惑だったり、邪魔だったりすることも多い。
でも人に嫌われてもあまり気にしないところはいいところだと思う。あと機嫌がコロコロ変わるというのも、悪い気分をずっと長続きさせないところは、見習いたいと思う。お母さんは、人を憎まない人だ。すぐ怒るし、頭悪いけど、陰湿なことは絶対にしない。
だから私はお母さんと二人きりでいる分には安心していられるし、お互いに優しくしていられる。お母さんはよく私のことを褒めてくれるし、私もお母さんのことを存分に褒めておく。
私はやっぱりお母さんのことが好きだし、一緒にいられることが嬉しいと思う。それは本当のことだ。
次お父さん。お父さんはすごく立派。別に無理しなくても、悪いところよりいいところの方がたくさん書けると思う。
まず第一、優しい。すごく優しい。気遣いも上手。言わなくても、多くのことを分かってくれる。
自分というものをしっかり持っていて、ちゃんとNOが言える。愛娘である私に対しても、同じ。私が間違ったことを言った時は、ちゃんと指摘してくれる。それも、敵意ではなく、愛情から言ってくれる。大事だからこそ、ちゃんと叱ってくれる。私はそれが本当に嬉しい。
どんなことでも、最後まで黙って話を聞いてくれる。そのうえで、ちゃんと細かく分かりやすく話してくれる。
まぁあと、これはあんまり言わない方がいいかもしれないけど、高収入。すごく仕事ができる人で、割と重要な仕事をしてる。休みはまぁ……そんなに多くないけど、休みの日はちゃんと家族のために家にいてくれる。
どこかに連れて行ってくれることもあるし、旅行を率先して企画してくれることもある。
ごくまれに家事を手伝ってくれることもある。(でも大体お母さんと喧嘩になる)
かっこいいと思う。正直、お母さんはともかくとして、身内の顔をどう判断すればいいのか分からないし、他の人から見てどうか全然想像できないんだけど、多分ハンサムだと思う。少なくとも私はブサイクだと思ったことはない。でも肌が常に荒れてるのはどうかと思う。スキンケアしてほしいと思うけど、余計なお世話だと思うから黙ってる。今度の誕生日でなんか買おうかなって思ってるけど、正直悩んでる。それでなんか、押し付けっぽくなるのもヤダし。
言うまでもなく、超賢い。私なんかよりずっと物事よく考えてるし、感情を抑える術を心得てる。自分自身をしっかり理解してるから、悩んだり迷ったりすることがほとんどないみたいだし、常に自分らしく生きているように見える。本当にすごいと思う。
私のこと褒めてくれるのも、嬉しい。お父さん曰く「俺は確かに○○より知識はあるし、頭の回転も速いかもしれないけれど、独創性はあまりない。俺がこうなったのは周りの人たちが支えてくれたからであって、才能というものは全くない。でも○○にはそれがある。俺が○○くらいの時はもっと馬鹿だったし、何も考えてなかった」とのこと。嬉しいね。抱きしめたいね。
ほんとは幼稚園生の時みたいにもっと親しくというか、無邪気にというか、自然にというか、そういう距離感で関わりたいんだけど、まぁそううまくはいかないよね。私もそろそろ大人だし。
親離れしないとなぁ……
兄さんのことも書いとくかぁ。あの人なぁ。
正直、両親よりも大切だと思ったことは一度もない。ただやっぱり、身近な異性と言ったらあの人だったし、尊敬する人は誰かと言われた時に、お父さんの次に思いつく人でもあった。
全然自覚はないけれど「初恋の人は?」と聞かれた時に思いつく人でもある。恋って感じではなかったけど、でもやっぱり憧れはあったし、好きでもあったと思う。
あの人には幸せになって欲しかったけど、もう遅いよ。私にできることは何もなかったし、仕方のないことだった。私にはあの人の気持ちがよく分かるし、これでよかったんだって分かってる。
私は生きることにしたし、あの人は死ぬことにした。それだけ。
よく似てたけど、本当は似てなかったのかもしれない。
私は恵まれていて、あの人は恵まれていなかった、なんて簡単な話じゃない。でも確かに私には両親がいて、理解してくれている人たちがいて、将来への安心もあった。でも兄さんの場合は、自分一人で生きなくてはならないことが確定していて、誰にも頼れなかったのかもしれない。
プライドの高い人だった。優しくて、責任感の強い人だった。そんな人が、学生の身分でもう生活に耐えることが出来なくなったというのなら、確かに死ぬしかないのだ。それがこの社会なのだ。
私はやっぱり、社会というのが恨めしいよ。全部が全部馬鹿みたいだし、滅びてしまえばいいとさえ思う。
結局兄さんを殺したのは環境と理不尽な常識。
まぁ私がこんな風に思うのが、あの人に愛情を抱いていた証拠だと思えば、それでいいのかな。本当にそれでいいのかな。
なんだか、つらいなぁ。
きっと両親が何かあって死んでも、一通り泣いた後はこんな風に思うんだろうな。何か別に原因を求めて、ただただ嘆いて、恨めしく思って、でも生きるしかないなぁって、そんな風に思うんだ。
愛情と悲しみは裏と表なのかもしれないな。少なくとも私の経験的には、そういうものだ。
愛していた人が死ぬと、生きていくのが難しくなるほどに悲しい。無条件でこの世を呪いたくなる。
そういうものなのだ、きっと。
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