Magazine Study vol.6

【今号の目次】
1.特別企画 対談
1)作業療法士に向いていない!?
2)野口卓也さん登場!
3)臨床教育者としてどう対応するか?
2.6月4日のらいすた概要
3.6月4日のらいすたQ&A
4.その他のQ&A
5.今号の研究論文リスト
6.時事ニュース
7.研究アイデアをシェアしちゃいます!
8.私のオススメ本
9.まがすたでしか言えない〇〇
10.次回のLive Study
11.近況報告
12.質問送り先案内
13.署名

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1.特別企画 対談
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1)作業療法士に向いていない!?
寺岡:今の時期って総合臨床実習で実習生が各病院に行きますよね。

京極:各施設関係者の皆様、いつも学生がお世話になっております。

寺岡:突然の営業モード、笑。私の所属する施設でも数校から受け入れているんですが、理学療法士、作業療法士に向いているのかどうなのか悩んだことがあるという人が多くて。

京極:ほう、それで?

寺岡:学生で「私(僕)、作業療法士に向いてないと思います」という人がいますが、それは受かって数年働いてみて考えたらいいと思うんですよね。

京極:ぼくなんていまだに作業療法士に向いているかどうかわからないよ、笑。

寺岡:笑。そう言われるとどう反応してよいか分からないですが。

京極:そうかい?

寺岡:まあ、「数年働いて考えてみたら?」という中には、無責任に仕事を勧めているわけじゃなくて、やってみて決めるのでもいいんじゃないかなと思うんですよ。その中で楽しさとか、作業療法士の資格を持ってこそできる新しい仕事の展開もあるわけで。

京極:ぼくは「自分がこの仕事に向いているか否か」というのは、問いそのものが間違っていると考えているんよね。

寺岡:へえー。どういう理屈ですか?

京極:この問いは、そもそも向き不向きというのがあらかじめあって、いま選んでいることがそれにフィットするかどうか、という感度を暗黙のうちに含んでいますよね。

寺岡:え?ビジョンが見えているという前提ですか?

京極:いや、そうじゃなくて、そういう感度そのものが錯覚だと言いたいわけ。

寺岡:ふーん。

京極:原理的に考えると、向き不向きというのはあらかじめあるもんじゃない。そんなの神様にだってわかんない。

寺岡:あぁ、なるほど。

京極:ということは、いま選んでいることがあっているかどうかもわかるわけがない。向き不向きがわかった気になることはできるけどね。

寺岡:じゃあ、結局分かるのは仕事を定年退職とか、辞めるときですか?

京極:まぁそうとも言えるし、最後まで結局わからないこともある。

寺岡:その理屈だと「何でもあり」になりません?

京極:そうはならないよ。そのときその瞬間に「向いている」「向いていない」と感じることはできるからね。でも、その感じは移ろいながらその都度構成されたもんだから、断定的に「これは向いている」「あれは向いていない」と決めつけたってしょうがない。

寺岡:そういうことは後になってみないとわからない、と。

京極:そう。そういうこと。だから、最初に寺岡さんが言った「数年働いてみて考えたらいい」ってことは至極妥当なんだ。

寺岡:それ、早く言ってください、笑。

2)野口卓也さん登場!
<ガチャ(研究室の扉が開く)>
京極:あっ。野口さん。

野口:講義おわりましたぁ。

京極&寺岡:お疲れさまです。

京極:学生たちはどんな感じでしたか?

野口:ええ。ちゃんとやってましたよ。

京極:そうですか。学生たちは野口さんの講義を楽しみにしているので、引き続きよろしくお願いしますね。

野口:わかりました。ところで、これ何やってるんですか?

寺岡:Magazine Studyの対談です。野口さんも議論に参加して下さい。

野口:えええっ!笑。まじですか?

寺岡:マジです。

京極:代表がそう言っているので、よろしければぜひお願いします。

野口:わかりました、笑。

寺岡:今、まがすたの対談で、作業療法士に向いてないって自ら言う実習生の話をしてたんです。

京極:ちょっとその前に野口さんに自己紹介していただいていいですか。

野口:はじめまして。京極研に所属している野口卓也です。ポジティブ作業評価(APO)シリーズを開発しており、吉備国際大学保健福祉研究所で準研究員したり、大学の非常勤で講義したりしています。

京極:ポジティブ作業に根ざした実践についても言わなくていい?

野口:ありがとうございます。ポジティブ作業に根ざした実践(Positive Occupation Based Practice, POBP
)は現在、精神科領域で効果研究を行っているところです。結論からいうと、精神障害をもつクライエントに対して効果がありそうだとわかってきたので、それを現在いろんな方々にお届けできるように取り組んでいるところです。

京極:野口さんは昨年、POBP&APO研究で博士(保健学)を取得されたんですよ。

寺岡:今でも毎週、大学院ゼミに参加してますもんね。

京極:それは、寺岡さんもw

寺岡:そうなんです、笑。

京極:野口さんは博士号取得後も精力的に研究に取り組みつつ、臨床もかなりしっかり行いながら、日々研鑽を重ねている希有な猛者です。彼の最新の情報は公式サイト、Twitterで配信されていますので、皆さんぜひ覗いてみてください。

**野口卓也さんのSNS**
http://noguchi19780822.blogspot.com
https://twitter.com/Takuya_530822

3)臨床教育者としてどう対応するか?
寺岡:ちょっと話を戻しますね。ここから、臨床教育者としてそういった実習生に対してどう対応していくかを話したいなと思ってて。

野口:はいはい。

寺岡:原理上、向き不向きは問うても仕方ないならば、「私は作業療法士に向いていない」と悩んでいる学生に対して、どう支援していけばよいですか?

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