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ファンの定義を考える
「ファン」とはどのような人を指す言葉なのだろうか。
ここでは、その定義を考える。
Ⅰ 類義用語から考える
ファンとは一般に「特定の人、モノ、サービスなどに対して強い好意を抱いている人」というような定義を持たれているのではないか。
しかし、これだと「オタク」や「信者」、「にわか」といった類義用語との違いが曖昧になってくる。
まず、確認したいのは、「ファン」と「オタク」「信者」の共通項目である。共通項目は二つあるのではないかと考える。
それは、
①その対象を”好き”であること
②その対象について”詳しい”こと、以上である。
ファンにしろ、オタクにしろ、信者にしろ、その程度の差はあるにしても、その対象を”好き”であるし、ある程度”詳しい”だろう。
その点、「にわか」は”詳しい”という条件を満たさない。
だから、私がある画家の作品を一つだけみて、その画家を好きだ、ファンだ!といっても、真のファンなどからすれば私は「にわか」の烙印を押されるだろう。
Ⅱ ファンと類義用語を分けるもの
では、「ファン」と「オタク」、「信者」を分けるものはなんだろうか。
私はそれは、
「その対象のためを思った助言、行動ができるかどうか」
であろうと考えている。”親心”といってもいいかもしれない。
もちろんこの助言や行動は時に批判的だと見られることもある。
これは信者には決定的に無い点である。
ある宗教を信じている者=信者にとって、教祖や教義は「絶対」であり、それらに対し私見を述べるというのは、それらを「信じない」ということになる。だから、その時点で彼らは信じるもの=信者として見てもらえなくなる。疑う者、裏切り者と見なされてしまう。ルターなどはまさにそうであった。
では、オタクはどうだろう。
オタクには、その対象に対して私見を述べる、伝える、訴える、こともある。
例えば、あるアイドルが結婚発表した際に「結婚すべきではない」云々と言う。その時彼らのこの発言は自分のために言っているのか、それともそのアイドルのためを思ってい言っているのかで、「ファン」と「オタク」を分けるのではないか。
アイドルAが結婚発表をしたとしよう。それが「自分のアイドルAが他人の物になる。許せない。裏切りだ」と感じて「結婚すべきでない」と発言するとき、これは自分のことを主に考えた発言であるため、この発言主は「オタク」になると考える。
一方でアイドルAが、あまり良い噂のない者と結婚発表をしたとしよう。それが「それだと本当にアイドルAが幸せになれないのではないか、もし結婚をしたいのなら他のひとがいいのではないか、少なくとも同居期間を設けてはどうか」などと、本当にアイドルAのためを思って発言しているのなら、その発言主は「ファン」になると考える。
Ⅲ ファンの定義
ということで、私が考える「ファン」の定義の3要素はこうなると考える。
①その対象を”好き”であること
②その対象について”詳しい”こと
③その対象のためを思った助言、行動ができる
信者は①と②が特別凄いが、③が決定的に欠けている。
オタクは①と②は凄いが、”自分のこと”を考えた発言、行動しかできない。
ファンは①と②と③を満たすのである。
にわかは①はあるだろうが、②や③が欠けることが多い。
ちなみに、ファンの対義語である「アンチ」と「無関心者」はどうだろう。
アンチは、時に②を満たし、③も満たすこともある。しかし、決定的に①を持たない。逆に言うと、”好きだ”という感情をもつことによって、ファンないしはオタクに変貌する可能性がある。
無関心者は、これらすべてを全く満たさない。
私は、「ファン」とは何か、そして、「信者」、「オタク」、「にわか」、「アンチ」、「無関心者」との違いは何かと聞かれたら、上記のように答える。
~最後まで読んで頂きありがとうございました~
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