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無口な父の話

こんにちは。武藤崇史(d_tsunagari)です。

昨日は父の日でしたね。
だから、というわけでもありませんが、この週末は地元の知多へ帰省して、実家の両親と一緒に過ごしてきました。

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土曜の昼頃に実家につくと、ちょうど父が洗車をしているところでした。

「ただいまる。」
「おぉ。」

一言挨拶を交わすと、まるで関心がないように、息子に背をむけて再び車のボディをこすりはじめる父。

言葉少ないこの感じ、なつかしい━━。

「ただいまる」は父がまるっちょ母さんを慕ってつかう武藤家オリジナルの挨拶。気づいたらわたしも使ってました。

父は昔から口数がすくなく、息子のわたしからみても、どことなく凄みのある雰囲気をまとってる人でした。
地元の友人からは「 the 亭主関白」と言われる具合のドシンとした風格。

実際そのとおりで、あまり子どもを素直に褒めてはくれないし、叱るときは何も言わずギロッと目で殺しにきます。
気が弱い人だったら意識を狩られてしまうでしょう。それに耐えてたくましく育ったのが今のわたしです。


そんな父も、いま思い返してみれば、不器用なやさしいところがあります。

印象的なのは小学生のころの話。
学校一の暴れん坊とケンカをして、目にコブをつくりながら校長室でカミナリをくらって帰ってきた日。
父はわたしに一言

「おとなになったら、ケンカなんてできないからな」とだけ言いました。

当時は、叱られなくてよかった、としか思っていませんでしたが、
今思い返すと、「いい経験をしたな」とわたし自身を肯定してくれたんだと思います。多分。

言葉すくない父の、独特な言い回し。
なぜか美しい記憶としておぼえてます。


━━さてさて、今回の帰省。そんな父に「父の日」のプレゼントを渡しました。普段は郵送しちゃうけど、せっかくなので直接。

贈ったのは「オーダーメイドのゴルフグローブを作れる券」。
手形をとってお店に送ったら、手にピッタリ馴染むのグローブが届くというイケてるサービスのチケットです。(妻がすべて手配してくれました。)

スクリーンショット 2020-06-22 23.08.31

https://www.usque.com/glove/

言葉少なですが、どうやら喜んでくれているようでした。
わたしも嬉しくて、さっそく手形とろうよ、なんて父を促しました。

しかし「今はだめ」とのこと。

「さっき庭で知らん虫にさされて腫れてるからだめだ。」
言われてみるとたしかに、親指の付け根が赤く腫れてるようでした。

「・・・思い出したら気になって痛くなってきた。あの虫はなんだろな。」

口に出したからか、父は謎の虫が気になって仕方ない様子。
パソコンの前にすわって、謎虫のことを調べはじめました。

1時間後

「こいつだ。タイワンタケクマバチ。絶対これだ。」
パソコンの画面を指差しながらいいました。

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台湾、中国南部からインドに生息するハチですが国内では豊田市で初めて発見され、最近では知多半島でも目撃されるようになりました。攻撃的な性格ではありませんが、針を持っているので刺されることがあります。刺されても毒性は弱いので腫れる程度。

どうやら愛知でよくみられる虫のようです。毒も弱いようで一安心。
謎虫の正体をつきとめ、噛まれた父もどこか満足気でした。

ま、満足してるならいいんだけどね。ゴルフグローブのこと、忘れてる。
これじゃまるで、わたしのギフトが"ムシ"されちゃってるよ。

テケテン

「いつまでも元気でいてください。」

#父の日 #買ってよかったもの



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