見出し画像

感想 じゃあ何から産まれたかったの? 児玉雨子 疑似家族。実の娘と偽物の娘。それは愛なのか?。

最初、違和感を感じた。
ママと娘の関係性があまり濃密だったからだ。
すぐに、その関係が偽物であることが判明する。ママは、子供の頃にお世話になっていた塾の先生で、娘は良くない両親に育てられた孤独な女性。
二人は求めあい、同居し偽物の母と娘になる。

その様は本当の親子よりも親子らしかった。
だが、そのよそよそしさ。気を使いすぎるところ。何か息苦しさも内在している。相手に嫌われたくない。その思いが強い。

そこにストーカー被害にあったママの実の娘が戻ってくる。
殺したいほど、この実の娘は母親を嫌悪していた。
昔の日記を読んだ今の娘はそう感じた。

だが、結局、偽物の母娘の関係はあっけなく崩壊してしまう。
昔、柳美里さんの作品で疑似家族の小説を読んだ。
あれとは結論が違う。

血の繋がりなんか関係ない。
家族は心が繋がっているかどうかというモチーフだつた気がする。

本作のモチーフは何だろう。
実の娘の出現で簡単に崩壊した親子関係
血の繋がりには勝てないということか
違う。
二人とも心の隙間を相手によって埋めていただけなのだ。その前提にあるのは「孤独」
自分にない何かを求めて生きている。その何かを偽の親子関係に求めていたのだ。

いがいと読み応えがあり楽しかった。
このモチーフ、まだ、いけそうだ。




2022 3 15



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?