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書評 アラジン  小倉銀時   ピカレスク小説なのだが、よくできている。テンポも良し。楽しめる。

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ピカレスク小説である。
16世紀 - 17世紀のスペインを中心に流行した小説の形式。
悪漢小説や悪者小説、ピカレスクロマンとも呼ばれる。
ようするに、悪い奴らをこらしめる小説なのだ。
日本でも時代小説で義賊などを扱ったものがある。

主人公のおっさんは、とある京都の裏ビルの管理人。
そこのビルには、ぼったくりBARとか、闇金業者とかが入っていた。
そんな悪い奴らを騙してこずかい稼ぎをしていた。
BARの火災をでっちあげ、火傷したことにして慰謝料を貰うとか・・・。

ビルの前で自殺しているのを見かける。
おっさんの取った行動が最低。財布を開けて中身の確認、数百円だったので手を出さず。
消費者金融のカードだけ抜きとり、それをそこの会社の責任者に渡してこずかいを貰う。
闇金としては自分たちが巻き込まれたくないから、金を払うのだった。

そんなおっさんと、自殺した男の親友のアラブ顔の男が意気投合し
悪い奴らをやっつけようとなる。そこに、顔見知りの老人が入院、その老人の家が悪い女に騙されて取りあげられたと知る。
その女の背後には、おっさんが管理人をしているビルのオーナーがいて
その男は経済ヤクザだった。

そいつらから10億の金をとってやろうと、架空の会社買収をでっちあげ
アラブ顔の男をアラブの王子にしたてあげ、詐欺を働き騙すという話しなのだが
物語は二転三転しおもしろい
最後まで目が離せないのがいい。
人物描写が上手く、テンポがいいので楽しめる。

その騙しの方法が面白い。
ある会社を買収する。だが、相手は完全な裏金。10億を要求してくる。
その金を悪の親玉に負担させようというのだ。

「アラビア 投資 庁 日本 事務所 には 裏金 は 一円 たり とも 存在 し ませ ん が、 表 金 なら 潤沢 です」

その裏金を払ってくれれば、表金であなたの土地を高額で買いますという嬉しいことを言うのである。
それでまんまと10億を騙し取る。

その上、彼らの海外の100億の裏資金を暴露し、女の過去の罪まで明らかにする。
最後では、悪を完膚なきまでに駆逐するのであった。

いくら金が手に入っても、そのままじゃ使えない。
さて、おっさんは、どうするのか?。


  ネット 上 に、 高額 の 当選 宝くじ が 売買 さ れ て いる アングラサイト が ある こと は パラダイス の 伊藤 から 聞い て い た。 新垣 に 探し て もらう と 確か に そういう サイト が 存在 し た。 小日向 は 三 億 円 の 当たり くじ を 三 億 五 千万 で 手 に 入れ た。


つまり、資金洗浄をした。宝くじが当たったということにしたのだ。
その金で自分が管理人をしていた。あのビルを購入するというオチである。


2020 4/4


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