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体育館でロケット花火を飛ばしたい〜周年記念児童集会

5年に1回、創立周年行事が行われます。子どもが在学中に1回は経験させようという趣旨の行事なので最長で6年間在籍していれば、教員も1回はぶつかることでしょう。私は、教員4年目で5の年の周年に当たりました。ここで、今後の教員生活に大きな影響を及ぼす、とてつもなく大きな出来事を経験しました。
その日の代表委員会は、「拡大代表委員会」でした。拡大とは、学校全体に関わる大きなイベントが議題の時に通常の3年生以上ではなく、低学年からも代表委員を臨時で出してもらい、全学級➕委員会委員長という構成で行われる会議です。
議題は、周年児童集会の内容決めです。いつも集会ばかり企画しているので、話し合いの方向性は大体2つ「プログラム」と「会を盛り上げる工夫」です。
特別活動の原則に従って、話し合いの条件もきちんと明示されています。
「場所:体育館」「時間:1時間」
全学級の代表委員からそれぞれクラスで話し合った意見が発表されていきます。「バースデーケーキを作ってお祝いしたい」「みんなで踊って楽しみたい」など。そんな中、盛り上げる工夫で低学年のクラスが、「ロケット花火を飛ばしてお祝いしたいです」と意見が発表されました。
しばらくすると、スルスルするっと特別活動担当の先輩教師が私のそばに寄って来て、耳元で「体育館でロケット花火って飛ばせる?」って囁きました。

飛ばして良いんだ!?!?!?!?!?

「ちょっと、考えさせてください」と返事をして、子どもたちの話し合いのアドバイザーモードから離れて、空想シミュレーションモードに突入して、1分後、今度は私が先輩の席までそそくさと寄っていき、「出来ます」って応えました。先輩は間髪入れず、自分のクラスの代表委員の背後に周り、何やら耳打ち。直後にその代表委員は、挙手をして「ロケット花火がいいです。なぜなら、、、、」と賛成意見表明。その後も賛成が相次ぎ、無事にロケット花火が賛成多数で可決されました。
代表委員会が終わった後、先輩が寄って来て、満面の笑みで「ロケット花火決まったね。よかったね。それで、どうやって飛ばすの?」って話しかけて来ました。
「ギャラリーの手すりから反対側に針金を渡して、そこにストローをかましてロケット花火をつければ、軌道が確実なので安全に飛ばせるはずです」とやったこともない仕掛けアイデアを説明しました。
先輩は目を丸くして「凄いね。そんなことができるんだ。」といつものように私の肯定感爆上げの返しをしてくれました。

途中で止まるのは、どうしたものか

その後は、いつもお世話になってる用務主事のところに行って、企画の説明をして、針金の番数のアイデアと必要な長さのアドバイスをもらい、事務室に行って「ロケット花火」と「針金」を発注しました。
児童集会前夜、用務主事と別の特別活動部の先輩と3人で仕掛けづくりを始めました。5cmに切ったストローを2本通した針金を6本縦横無尽に張り巡らせました。凄い技能をもっていた用務主事は少しのたわみも無くピンピンに針金を手早く張っていきます。全部張り終わり、いよいよ試し打ちです。
ロケット花火の先端と軸棒の2箇所をセロハンテープでストローに付けて、点火。シューと導火線が燃えて、ヒューーーーーンと針金に沿って飛んでいきますが、なんと体育館の真ん中で止まってしまいました。花火の個体性能が原因かもと思い、高跳びのバーで止まった燃え滓の花火をギャラリーまで押し戻し、再度挑戦するも同じように止まってしまいます。
「なんでだあああっ」て頭を抱えていると、先輩がボソッと「摩擦抵抗じゃないかなぁ?」と原因を推測しました。
5cmからほぼテープ幅の1cmにストローをカットして、再チャレンジ。ロケット花火は見事に反対側のギャラリーまで飛んで行きました。
残りの5本の針金についているのも全て、1cmにカットして、ロケット花火を装着して、全ての準備が終わったのは、21時頃だったと思います。

どこに落ちたーーーーーー!?

翌日は、集会当日。
登校時刻よりも早くやってきた代表委員はそれぞれの持ち場にいき、周年児童集会のリハーサルを始めます。
ロケット花火点火担当の子どもも6人それぞれがライターを持って、針金に装着した花火の場所に待機して、実際のタイミングに合わせて点火するリハーサルをなん度も繰り返します。
そして、中休みの後に、いよいよ本番。
全校児童が体育館の中央に設置された卓球台の上にある巨大バースデーケーキの周りに座って会のはじまりを待っています。
体育館の照明が落ち、音楽が流れ、スポットライトがケーキを照らして、姿の見えない司会が開会を宣言します。
「今日は、○○小学校の誕生日だ!!みんなでお祝いをするぞー!!」と叫ぶと、会場から拍手が鳴り響きます。次の瞬間、ケーキの中から司会が飛び出して来て、会が始まりました。
プログラムは進んでいき、いよいよ最後のダンスとそのキッカケ合図のロケット花火です。ダンスに備えて、各学年が立ち上がり、体育館いっぱいに広がります。全員が広がったところで、照明が再び暗転となり、ロケット花火が点火されます。リハーサル通りに一つずつロケット花火が着弾したタイミングで次の花火が発射されていきました。
ところが、全て順調に行っていたのですが、1本の花火が反対側に到達寸前にフロアに落下していったのです。
そんなことはお構い無しに、体育館はすでに音楽が爆音で鳴り響き、全校児童がディスコ状態(今でいうクラブ?)で踊っています。
ギャラリー上で仕切っていた私は、フロアにいる自分のクラスの代表委員に「何年生に落ちた?」って叫びました。その子は「5年です!」って答えてくれたので「よかった。5年ならいいや」と二人で笑い合いました。(ロケット花火を推した先輩が5年生の担任でクラスごと仲良くしていたため)
全てのプログラムが終わり、全校児童が退場し、空になった体育館で落ちた原因を調べました。どうやら落下したロケット花火の針金が弛んで下の針金に接触していたため、ストローから切り離されたのが原因でした。前夜ピンピンに張られていた針金は一晩のうちに自らの自重で延びたのです。
さて、このnoteの結論ですが、もし、これを読んで自分の学校でも体育館でロケット花火を飛ばそうとした際には、どんなにピンと張った針金でも一晩経つと、自重で延びて弛むことを予め計算入れておくことをお勧めします。

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