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鴨川の流れに心をまかせ

#休日のすごし方


晴れ渡る空の下、腫れ上がったまぶたで洗濯を2回まわす

コーヒーをベランダのそばでガブガブ飲みながら、顔を洗うとき見た、虫に刺されて腫れ上がったようなまぶたを思い出すとちょっと笑えてくる

体も元気だし、ブサイクな顔に笑っちゃえるならまだ大丈夫

心地よい、ときに強い風があるのでシーツと布団カバーを洗って干し、2回目の洗濯を干す頃には水分がとんでいるほどの気持ちの良い気候

この顔じゃあどこにも行けないなーという気持ちもあるが、この青空のもとこのまま家にいるのももったいないし家にいたところで携帯ばっかり触ってしまって何にも手につかないだろう事は目に見えていた

保冷剤と温タオルを交互に当ててまぶたの腫れが少しマシになったら、いつもより濃いめにお化粧をして出かける

車屋町を竹屋町まで歩き、寺町から丸太町に出て東に進む

鴨川、行こ

ベンチから北を向くと荒神橋
北の空に大きく厚い雲
飛行船『ゴリアテ』
真正面の、東の対岸からは法螺貝(?)の音色
こちらは『龍の巣』

ふらりと鴨川へ降りると川に近いベンチは日陰になっているので腰を下ろしてお水を飲む

ろくな事を書けないだろうから今日は書かないつもりでいたけれど思わず携帯を取り出し写真を撮るうちに、この鴨川で感じた気持ちを書いておこうという気持ちに変わる

小さい時は家族と、10〜20代の頃は近くのパン屋さんで買ったパンを食べたり本を読んだりしてひとり過ごした懐かしい場所だ

30代は土曜日に趣味絡みの仕事をさせてもらっていたので唯一の休日の日曜日はここに来る余裕がなかったが、相変わらずここは良いなあと思いながら周りを見渡す

隣のベンチは女の子2人がお喋りし、シロツメグサの生い茂る後ろのスペースではテントで赤ちゃんと過ごす人、キャッチボールする親子、ヨガをする女性と、みなそれぞれに鴨川を満喫している

流れる川を眺めつつ、トンビが泳ぐ空を見上げたり、行き交う人たちをひとり目で追う

とにかく頭を空っぽにしたかっけど、ときおりやってくる弱々しい気持ちに苛まれ気を抜くと視界がぼんやり霞んでしまう

やだやだ、とため息を付きもう一度水を口にした瞬間

『いまなんじか、とか、わかりますかぁ?』

先程までボールを元気に追いかけてお父さんとキャッチボールをしていた小さな男の子が私のすぐ横に立っていた

『わかるよ!ちょっとまってね、4時44分』

携帯の時間を確認し、画面を見せながらそう告げる

『ありがとうございます!』と頭を下げながら、お父さんに『4時44分やって!』と駆け寄ると、お父さんもこちらに会釈して二人して自転車に乗って帰って行った

真っ赤な顔をして、柔らかそうな髪の毛が汗で額にベッタリと張り付いていた

可愛いなぁ〜と心からの笑みがこぼれる

もうこんなに時間が経っていたのかと北の方を見る

荒神橋が完全に日陰になった
さらに巨大化した『ゴリアテ』

止まることのない川の流れ、風に刻一刻と姿を変えられる雲、太陽の光によって変化する景色の色あいをまだぼんやりと眺め続ける私

こうして心の弱さを吐き出して素直になれるnoteとは違い、現実世界ではなかなかそうなれない自分にがっかりしてしまいながらこんな曲が頭に流れる

♬劣等感を逆手に取ってワガママばかりの君が隠し持った母性本能はすごい♬

Mr.Children/『シーソーゲーム』


♬目に見える優しさなんて苦手だと無表情の裏に愛を隠していた♬

COOL DRIVE/『スーツ・ケース』

もっと若い時はこれで良かったのかもしれない

うまく表現できなくても心に確かなものがあれば大丈夫なんだと思っていたし思いたかった

心に隠し持とうが、確かに持っていようが伝わらなければ意味がないし、放った言葉に嘘はなくても受け手(人・場所・組織)に思った通り届かなければどうにもならないという現実を思い知る

やり直したり時間をかけたりすることも出来ない、チャンスは1度きりしかないという局面に、掴み取れなかった色々に今さらながら思いを馳せてしまう

やめときゃいいのにねえ

心をいつも一定に保ち、身の丈以上のものを強く求めるわけではないのに、時に勝ち目のない大波に自ら乗っかってしまいたくなり案の定バランスを大きく崩し撃沈してしまう

何となくとか直感なんかではなく、自分なりに考えてやっている事なのに『あぁ、また間違えてしまったのか』と打ちのめされる

あと何回こんな事を繰り返すのだろう

怖がりで臆病なのに浅はかで軽率で、ときに暴れ出すカミナリくんを必死で抑え込みながらチグハグに生きてきているなあなんてセンチメンタルになっちゃって〜、このこの!

よしよし、その調子!そしてもう帰ろう!

そしてまた来よう、この大好きな場所に


充分癒やされたとか、すっかり気分が晴れたなんて事はない

ここに何も求めないし、ここで何かを得るつもりもない

蚊の恐怖もまだなく心地よい風に吹かれるこの場所で、遠慮がちな太陽とともに、ただそばにいさせてもらう

そんな気持ちで過ごすそんな時間

たまにはいいかも

ちょっと大人しい、そんな休日の過ごし方






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