準備に一番時間が掛かる「発明の詳細な説明」を書いてみよう!

発明の詳細な説明が、実は一番、準備に時間が掛かるんですよね。
発明の詳細な説明とは、その技術を知っている人が、その発明を製造したり、使用したりすることができる程度に、発明を簡潔に記載する部分なんですよね。

読み手がわかるように!

多分、特許の準備書面の8割くらいの枚数は、この発明の詳細な説明なんですよね。
発明は、他の発明や従来の技術と識別できるように記載します。
可能な範囲で、読み手が、他の発明と技術的な差異がわかるように、記載するんですよね。
発明の全体を平坦に説明しただけでは、読んでいる人が、発明を正しく理解することができないこともあるからです。

たとえば、世の中の発明って、もうほとんど何かの改良なんですよね。
まったく、この世の中に、存在していなかったものって、そうないんです。
だから、そのような改良発明は、その改良に必要な事項を中心に記載すれば良いんです。
もう、すでに知れ渡っているものは、必要最低限でかまいません。
あるいは、この部分については、この特許公報を参照してくださいって、記載しておけば十分です。
そして、知れ渡っている部分と比べて、その改良に必要な部分のみに、なるべく多く説明していくのが良いでしょう。

どんなに経験があっても、特許になるかはわからない

また、ひとつ注意しておかなければならないのは、どのような先行例が引用されて、審査官から拒絶されるかわからないため、いくつかのパターンを考えておく必要があります。
例えば、この部分は、このパーツに換えられるし、この部分は、こういう時にはいらないとか、いくつかの場合分けをして、記載すると良いでしょう。

そうすると、引用された先行例には、そのパーツの記載がなかったり、あるいは、どういうときにどう使うかが、細かく記載していなければ、その点が特許となる可能性があります。
実は、どんなに経験のある弁理士や弁護士でも、この発明は100%の確率で特許になるというのは、実際のところ、わかりません。
どのような拒絶理由が出ても、ある程度、対応できるように、下がりしろを考えておく必要があります。

図面との対応が重要

発明の詳細な説明では、発明の説明になるべく番号をつけて、図面との対応が簡単に取れるように記載します。
アメリカの特許の場合ですと、非常に図面が大事なんですよね。
ですから、図面との対応が分かりにくい内容は、記載不備と指摘されてしまいます。
この時に、番号は、発明の詳細な説明を通じて、最初から次第に大きくなるようにつけていきます。

そうすると、発明の詳細な説明と図面との対比が取れやすくなります。
人によっては、図1の構成に番号をつけるときは、10から始まる数字をつけたりします。
どんなやり方でも良いですから、発明の詳細な説明と図面が、分かり易く対比できれば良いのです。

その技術を知っている人が、その発明を製造したり、使用したりすることができればOK!

発明の詳細な説明には、アメリカの場合は、記載要件、実施可能要件、ベストモードの要件を満たすように、記載しなければいけません。
これらの要件は、その技術を知っている人が、その発明を製造したり、使用したりすることができる程度に、発明を簡潔に記載すれば、多くの場合は満たしてしまいます。

一番大事なのが、なんと「効果」!

特に、注意してもらいたいことが、発明の詳細な説明には、いままでの発明では予期せぬ効果を記載しなければいけない点です。
従来から知られている要素の公知の方法による組み合わせは、それが予期せぬ効果以上のもの生み出さない限り、特許になることはありません。
つまり、発明で一番大事なのは、どのような効果があるかどうかなんです。
この発明を使うと、今までにない、こんなメリットがあるよ、ということが主張できなければ、単なる組み合わせで、自明ですね、と審査官からは言われてしまいます。

そのため、もし可能であるのであれば、この予期せぬ効果を説明できるようなデータがあると良いです。
出願するときに、まだ、そこまでデータとして準備できなければ、出願後でも提出は可能です。
つまり、数字に表せるような効果があるかどうかがカギになります。
この点が、非常に重要なところです。


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