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特許権を売却する方法とは

特許権を売却する方法としては、ざっくり分けて以下の3つがあると思います。
もちろん、売却ルートは多岐にわたるかと思いますが、私が行ってきた最もメジャーな方法を、中心に説明します。

先ずは、特許売買を行っている業者に依頼するルートです。
業者によっては、売却した場合の手数料のレートが異なりますが、おおよそ売却による利益の数割から半分くらいです。
特許売買の業者は、それしかしていない専門業者もありますし、法律事務所が仲介としてやっている場合もあります。

特許売買の専門業者は、よくブローカーと言われます。
ブローカーは基本的に取引や売り買いを仲買いする人で、不動産、金融、保険業界を中心に広く使われる言葉ですよね。
特許売買の場合は、売りたい人と買いたい人を探す、仲買い人である、ブロカーが一番重要なパートなんですよね。

でも、それ以外に、特許を名義変更する際の譲渡書が必要だったりします。
また、そもそも、その特許がちゃんと生きていることを確認するデューデリジェンスが必要であったりと、知財の法律事務所がやった方が楽なんですよね。
なので、米国は主に知財の法律事務所がブローカーをやっていることが多いです。

次に、パテントプールに売却するルートです。
パテントプールと言いますのは、本来は、複数の企業が特許のクロスライセンスを目的として結成するコンソーシアムを言っていました。
しかし、少し前から事情が大きく変わってきています。

複数の企業が必要に応じて作るコンソーシアムではなくて、複数の関係ない人たちが、勝手に作ったパテントプールが、米国では増えてきました。
彼らは、半導体やディスプレイや自動車などの特許をかき集めます。
そして、それをその分野の企業にライセンスするビジネスを開始したんですね。

企業は、ここにお金を払って会員になると、彼らのパテントプールの特許が使えるようになるんですね。
まあ、ここまでは良いんですが、会員になることを拒否すると、特許権侵害で、そのパテントプールに訴えられるという自体が頻発したんですね。
日本企業も、勝手に作られたパテントプールから、よく訴えられていました。
ただし、このようなパテントプールは、必然的に、特許を搔き集めなければならないので、特許を良く買ってくれます。

最後に、私がよくやっていたのは、オークションですね。
特許オークションというのがあって、出品するとそのオークション主催者に手数料を支払うと、出品してくれて購入者の間で競り合わせ売ってくれます。
この手数料が、ブローカーに支払う料金よりも安かったので、可能な限りオークションに出していました。

ただし、最近では、オークションのマーケットは、あまり活発ではありません。
いくつもルートがあるんだけれども、どこが自分の特許の売買に合うか、わかりませんよね。
果たして、ご自分の特許を仲買いする人がいるかどうか、パテントプールが欲しがるか、なかなかわかりません。

それよりも、この会社だったら使うかもしれないな、と思った企業に直接、売り込んだ方が早いんじゃないかと考える人も多いかと思います。
もちろん、不可能ではないのですが、多くの場合は、企業は、このような売り込みに消極的です。
まあ、考えたら買う側からしたら、もし必要でないのであれば、そんなに積極的に買いたくないですよね。

特に、日本企業に、このような話を持っていくときは、要注意です。
日本の企業は、このような特許の売り込みに警戒感があります。
理由は、1990年代から今に至るまで、米国の個人発明家に特許の売り込みで、ひどい目にあってきたからです。

もし、企業に買ってもらいたいのであれば、シリコンバレーに持ち込んだ方が、まだ、現実味が出てくるでしょう。
いまの日本でも、特許を売買するルートは、ある程度は、出来上がっています。



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