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「抗がん剤はやりたくない」

母は、乳がんだった。

胸にできた、赤いおできはそのときかかっていた帯状疱疹だと思ったらしく、発見が遅れた。
医者もやぶだったんだ。

別な個人病院で診てもらうと、私ではわからないので大きい病院で診てもらうよう勧められた。

母は、1人で総合病院を受診した。
家族の人に来てもらうよう医者からいわれ、父が付いていった。
乳がんだと告知され、抗がん剤治療をすると言われた。

その後、わたしに「こういうことになっているから」と父から連絡がきた。


母は、近所の人から抗がん剤は副作用がきついと噂をきいたり、親戚が抗がん剤治療が耐えられなかったため、抗がん剤治療はしたくないと言っていた。


受診した近所の総合病院にそのことを言いに行くこととセカンドオピニオンを希望することを伝えるため、私と父の付き添いの元母は受診した。

少し頭の薄くなった体格のいい男性の医者は、信念をもってこう語った。

「その癌だけ取っても仕方がない。転移するかもしれない。抗がん剤はそのための全身治療」

正確には覚えていないが、もっと丁寧にくわしく抗がん剤治療の必要性を話てくれた。

そのとき、ステージ4の手前だということも教えてくれた。ステージ4だともう手術はしないと。

その嘘のない医者としての誠意のある声は、私の心に素直に響いた。

私の心は揺れたが、結論は決まっていた。

セカンドオピニオンの件は、セカンドオピニオンを受けるのはいいが、安くはないことと、どこで受けるのか?、そして、そこで治療するなら、その分治療が遅れるということも含め、今ここで決めてほしいと決断を迫られた。

母の聞いてきた近所のうわさで「ここでは絶対(癌を)切ったいかん」と言っていたことを正直に話すしかなかった、、、



紹介状を書いてもらったが、次の病院でも結局一から検査だった。

「抗がん剤をやりたくない」

そうまだ若い女医さんに伝えると
「それでここへ来たのね?むこうで説明聞きました?」

「抗がん剤による全身治療が必要だと言われました」

結局同じ説明を受け
「お年寄り向けの副作用の軽い抗がん剤にしましょう」

と抗がん剤治療が始まることとなった。

まず、抗がん剤による治療で腫瘍を小さくしてから手術するということだった。













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