その3-私の宝物-
スピッツが好きだと友人が言った。
投稿日を見て不意に出た、私の「古いね」という言葉に、友人は「そんな事言うなよ」と言った。
私が「古いと言うのは悪い意味で言ったのではない、価値があると思っている」と伝えると、
「でも流行りに疎くなってきて、駄目だね」と友人は言った。その少しも駄目と思っていなさそうな、誇りまでもを含むような明るい穏やかな声色が私はとても好きだった。
私はタイプを聞かれると、カリスマ性のある人が好きだと言っていた。
私は総じて自分を持っている人が好きなのだろう。
流行は確かに大事だ。社会との関わりは捨てられない。それには共通言語が必要だ。その役割を担うものなのだろう。
だけど、自分だけの信じられる魅力に出会い、それを大事にしている人の話を聞いている、年季の入った宝箱の中の瞬く宝石を見せてもらったような時間が私はとても好きなのだ。
そして、その時間は貴重で儚いとも私は思う。
時が経ち、君がもし社会に擦り切れてしまって、過去のものになってしまっても私は君の分まで大事にしていきたい。
やっぱり、でも、ずっとそんな君を守らせてくれないか。隣でなんか言わないからさ。
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