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「ずんだもんの曲」の歌詞を考えるということ【ずんだもんだわんだーらんど解説②】

はじめに

NEUTRINOずんだもんの配布ページはこちら

この音源を使用して制作した楽曲がこちら(よろしくお願い致します)

https://nico.ms/sm40854137

こちらの楽曲を中心に、今回は歌詞について解説していきます。

動機〜目標設定まで

最初に申し上げると「ずんだもんのデモソング」はすーーーーーんごい前から妄想していました。

正確には「ずんだもんがボカロ(広義)化しないかなぁ」みたいな事をかねてから夢見ていました。
というのも私は宗教上の理由で東北ずん子プロジェクトの中でずんだもんが一番可愛いと思っていて、可愛くないですかずんだもん、もっちもちで可愛くないですか、一家に一体欲しくないですかずんだもん。
もし、例えばCeVIOAI等できりたんやイタコやずん子の流れでずんだもんが歌唱ライブラリ化したら即発狂する自信がありましたし、
この手でずんだもんを歌わせてみたい…!自分がデモソングを作るとしたらこんな曲にしたりこんな事を歌わせたりするのに…!という事をよく考えていたわけです。
(ちなみにUTAUずんだもんの時期はまだプロにすらなっていませんでした。)

そして今年早春、事件が起こります。

なんとマジで音源化することに。




秒でフラれるな

(この節は大変申し訳ありませんでした)

というわけで公式案件にこそならなかったものの、支援者が実質的にデモソング作者になるとくればもうやるしかありません。
私の特技が推しの力になれるかもしれないですし、積年の夢を叶える最後のチャンスかもしれないのです。
目標とされているジャンル(クラファンページ及び前回記事参照)を考えても私の得意分野が活かせそうなので、もう全力をだそう!そして悔いのないものを作ろう!と心に決めたわけでございます。

具体的には、歌詞に関して以下の目標を設定しました。

  • 極力ずんだもんらしい内容にする

  • 出来るだけ多くの人の印象に残してもらう

  • 可能な限り小ネタをこっそり仕込む

大枠決め〜歌詞確定まで

というわけで(同時進行で作曲しつつ)実際に作詞をしていきます。

まず曲名なのですが、私はわりとどのタイミングで付けるかはまちまちです。
最初に決める事もあれば、一通り完成した詞からタイトルを付ける事もあります。
一応「メガロポリス納税」のようにサビ歌詞のワンフレーズで印象付ける計画の場合は、それがそのまま曲名になっていた方が概ね良いので真っ先に考えるようにしています。

今回はどのような曲にするかすぐに決まったので、
ずんだもんだわんだーらんど』
という曲名もパッと決まりました。
我ながらいい感じにキャッチーだなと思いますし、これ以上は私の語彙ではもう出せない気がします。曲名無限出しマンになりたい

次は曲中のどの部分で何を伝えたいかを大雑把に決めます。
私はこれを作詞の際にほぼ必ず行うようにしているのですが、詞に中身を持たせやすい上、残りは言葉を選ぶ事に集中すればよいので、
作詞何書いていいか分からないよ〜〜〜〜〜〜という人はこのように整理してみるのがおすすめです。でもノリで書ける時はやらないがち

今回は以下のように設定しました。

イントロ…キャッチーな合いの手
Aメロ…ずんだもんあるある
Bメロ…この世界にやってきたのだ
サビ…タイトル回収、ハッピーで前向きなフレーズ
2A、2サビ…1番と同じ

少々ざっくり過ぎる気もしますが、ここからいくらでも詰められるので大丈夫です。
もちろんもっと具体的に書いてもいいですし、実際に使いたいフレーズをメモしておくのもアリです。
これを基に作詞作業を進めていきました。


さて、ここでひとつ大きな問題に直面する事になります。


そうです。

「ずんだもんあるある」、界隈がカオスすぎて何歌わせればいいか分からない。


ずんだもんを語る上で欠かせない要素、それは不憫属性
ネット上でもおおむねこのキャラで伝わっているようなので分かりやすいですし、何よりこの点は明らかに公式もプッシュしており、ずんだもんの個性を表現するならば是非採用したい設定でした。

伊藤さんに一体何を言わせているのか

とはいえ、いわゆる「ずん虐」レベルまでいくと快く思わない人が多いのも事実。私としてもあまりかわいそうな事は歌わせたくありません。
当時から(記事執筆時点でも)界隈でかなり議論になっている事もあり、なるべく多くの人に納得のいくものになるよう慎重に言葉を選ぶ必要があります。


そこで色々思案した結果、動画セルフ勢の特権を行使しあらかじめ動画上で演出する事を見越して、

「渡された台本がぶっ飛んでいて思わずツッコミを入れるずんだもん」

という構図であれば、そこまで角を立てる事なく、かつずんだもんネタとして分かりやすい表現が出来るのではないかと考えました。後にその台本が採用されたかどうかも見る人の解釈に委ねる事が出来ます。
何よりずんだもんには常識人枠としてのポジションもあるので、ツッコミという形もキャラに合ってるような感じもあり、最終的にこの方向性を採用する事にしました。


という訳でなんやかんやありつつも歌詞が完成しました。
以下は採用したフレーズ一つ一つについて解説をしていきます。

フレーズ解説

ずんだ もんだ わんだ のだのだ

初手合いの手、常套手段ながら印象付けしやすくて良い。タイトルが既にいい語感だったのでほぼ変えずに持ってきています。

オチの逃げ道を枝豆感覚で潰す行為はやめるのだ

ずんだもん動画大体バッドエンドなの謎(?)。言わずもがなずんだ餡が枝豆をすり潰して作る事とかけています。
余談ですが実際にずんだ餡を作ると枝豆が異様に頑丈で思いの外潰すのに時間がかかりました。茹でる時に塩とか入れるべきだったのかも。

いくらマスコットでもマイルドにできる奇行には限度があるのだ

これは私調べなのですが、低頭身マスコットキャラクターは意外とぶっ飛んだ事しててもわりと一般向けに見えてしまいます。ポムポムプリンとか

ボクの耳がついた何かがボクだと言い張って出ずっぱりなのだ

パーツに特徴のあるキャラ、そこしか原型を留めてない素材作られがち。

ずんだ餡レベルで新たな活路をそれに見出しちゃだめなのだ

それで派生動画作られがち。ずんだ餡は餅以外にも羊羹やシャーベットにしたりパンに塗るなどの用途があります。

もちもちまぼろしの世界からやってきたボクなのだ

こちらはWeb小説の設定が元ネタです。

ずんだもんは元々「もちモンわーるど」というゲームのキャラクターであり、そのレアリティは「幻のもちモン」とされていました。
そこからやや拝借したフレーズとなっています。

だけどなんだかヘンテコな場所に迷い込んじゃったのだ

ずんだもんは常に深層Webみたいな目に遭っている印象が強いですが東北家のぶっ飛んだ言動に冷静にツッコミを入れる描写が多いんですよね。

でもこの4コマシリーズはずんだもんも大概な気がする

ず ず ず ずんだもんだわんだーなことがきっと起こる気がするのだ

こちらもタイトルに合わせたフレーズとなっております。歌声を手に入れたずんだもんには素敵な事が待っていて欲しいですね。

あんニュイも あんハッピーも ずんだといっしょにこねるのだ

気付いた方も見られますが、「あん」が平仮名なのはずんだ餡とかけています。奇跡的に英語が「アン」で始まるネガティブな単語の存在する言語だったので洒落が成立しました(?)

ずんだもんだわんだーマスコットなボクが未来をつくるのだ

前半の「〜なこと」とここの「マスコット」で韻を踏んでいます。
韻といえば今回ほとんどの箇所が「〜のだ」で終わるのであんまり言葉尻を考える必要が無かったですね。語尾キャラだとこういう事が起こるのか。

手を引いて さぁ一直線 飛んでいくのだ わんだーらんど

こちらは先程の小説版と異なり、ずんだアロー関連の設定に倣っています。

アニメ「ずんだホライずん」など様々な場所で登場するのでわりとメジャーな設定と言えるでしょう。

その変身はちょっと設定の範疇から逸脱してるのだ

ちなみに基本ずんだアロー以外には変身出来ないようです。

そんな真っ青な空間でそんな動きをした覚えは無いのだ

動画でちょっと動かしているずんだもん、RAO先生に許可取ってBB作ろうかと考えたのですが、さすがにあまりにも汎用性が低いので見送っています。

みんな昨日までそんなに歪んだキャラじゃなかった気がするのだ

周囲のボイロキャラ、変な属性付きがち。

そんな動機で読み上げの限界を超えないで欲しいのだ

ここまでいじっておいて何ですが正直過呼吸は音声合成の技法としては普通に面白いと思います。NEUTRINOでも出来るんだろうか。

※2サビは特に1番と変わらないので省略します

まとめ

ずんだもんはここ一年で爆発的にハネたキャラクターですが、
その中で様々な二次創作が作られ、いつしかそのずんだもん像も非常にカオスなものとして認識され始めています。
個人的にその辺りをどう扱うかが非常に難しく、公開まで反応がかなり心配でもありました。
(蓋を開けてみればわりと好感触を頂いていてホッとしています。ありがてぇ…)

歌詞に小ネタを仕込むのは楽しいので皆さんも是非やってみて下さい。
ずんだもん、知れば知るほど愛らしいキャラクターだと思います。


最後にこちらの4コマからのセリフでお別れしましょう。

キャラらしさって大変なのだ

次回記事 > ずんだもんのMVを同志と作った話(前編)【ずんだもんだわんだーらんど解説③】