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はじめての「いちごつみ」

先日、生まれて初めての「いちごつみ(一語摘み)」を完走し終えた。

お相手は歌人の武田ひかさん。今年の1月1日から始まり、私が父の葬儀などでかなり作詠が遅れたタイミングなどもあり、約6ヶ月かけ7月10日に終了。二人で全50首。

やってみてまず思ったのは、テーマ詠・題詠とも自由詠とも異なる「いちごつみ」特有の面白さ。前の短歌の中から一語選ばなければいけないというのが「いちごつみ」の基本ルールだが、その選択の段階でまずセンスが問われるし、その選んだ言葉をもとに短歌を考えることがまた面白い。

例えば、選んだ単語の力に引っ張られて、前の歌に近すぎるものにならないように工夫したり、全体的に似た傾向の短歌が続かないように、違う方向に向かうようにしてみたり。

それから、雑誌投稿とも歌会とも違う「他者の視点」の存在。それは、選者の視点を思いつつ詠む感じとも、歌会で皆の指摘を受けながら短歌の推敲を考える感じとも違うもの。

このあたりはまだうまく言語化できないのだけれども、自分が今回作詠した短歌25首を振り返ってみると、武田さんの短歌の影響を受けて作ろうとしているものも多く、「武田ひかという『場所』でしか自分から生まれてこない短歌」が手元に残った気がしている。

そして何よりの楽しさは、歌人の先輩である武田ひかさんが生み出す新作を(おそらく)誰よりも早く読むことができたこと。きっといくつかは推敲を加えたりしつつ、いずれ世に放たれるのだろう、と思うと少しワクワクする。

ああ!一首、すっごく好きな短歌があったんですよねぇ、早く語りたい!一首評書きたい!!笑

閑話休題。

駆け出しの歌人である私に「いちごつみ」で踏まえておくべきいくつかのルールなどを親切に教えてくださり、またこちらの拙い作詠にも付き合っていただいた歌人の武田ひかさんには、何度でもお礼を言いたい気持ちです。

初めての「いちごつみ」のお相手が武田ひかさんで本当によかったです。ありがとうございました。

今、またどなたかと「いちごつみ」をやってみたい気持ちです。

さいごに。今回「いちごつみ」のお相手をしてくれた武田ひかさんの短歌の中(あ、もちろん今回の「いちごつみ」で詠まれたものではなく!)では、次の短歌がとても好きです。

信号がかわるまで待つ対岸の花になるまで手を振ろうかな

武田ひか『相槌』より(『西瓜』第3号収録)


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