11月進研記述模試(高2)

 どうも、せむです
 高1の記事に続きまして、高2の11月進研記述模試も見ていこうと思います。
 私の生徒の高2に言うべきことがあんまり無いので、この記事自体はだいぶ一般論的です。


全体

英数国の苦手科目タイムリミット

 最難関大志望は、タイムリミットがそろそろ近付いています。東大英語のタイムリミットが既に来ていて、他の最難関大の2次科目も3学期中に来ます。
 私用語で恐縮ですが、タイムリミットとは「苦手科目をここからどれだけ勉強しても必要偏差値上昇(+10~20)に届かず、受験本番まで苦手科目の範疇から逃れられなくなる時点」です。
 特に学習量が必要な英語では、タイムリミットが来るのは早いです。

 苦手科目を取り返せるくらい得意な他科目があれば何とかカバーは出来ますが、難しい大学ほど、そういった立ち回りは厳しくなります。
 あなた基準の得意科目が、受験校基準でも得意科目かどうかは疑わしいからです。

基礎固めを急ごう

 タイムリミットの恐ろしいのは、それを過ぎたことに気付くのが2,3ヶ月遅れることです。
 つまり、タイムリミットが迫っていることに受験生は気付けず、過ぎて相当時間が経ってから、「ヤバそうだから本気出すか」あるいは「きつそうだから志望下げるか」となるのです。どちらの判断にしろ、遅すぎると言わざるを得ません。

 あなたの現在の志望校との位置関係にもよりますが、多くの大学の苦手科目タイムリミットは高3の1学期に来ます。それを過ぎると、科目を減らしたり志望を下げたりといったことを(後々)強いられます。
 基礎固めがまだの子は急ぎましょう。基礎固めの内容は、

  • 英語→単語/熟語/文法、構文知識

  • 数学→チャート系例題全部

  • 国語→古典暗記、基本的な現代文読解力

です。
 志望大にもよりますが、今回の模試では45点~60点くらいのラインです。それ以下の子は基礎ができていません。
 特に、文系英国や理系英数で合計100点以下の人は本当に焦ってください。

 以上を踏まえて、今回の自己採点別・各科目の反省に移ります。

英語

・60点以下

 英語は7月模試よりは手強さを感じるようになってきましたかね?
 キーは英文解釈と、長文を読むための読み方の習得です。

 答えを的確に探すこと、探した箇所を問題の要求に応じて表現すること。これらが長文問題を解く上での「本筋」です。その本筋の補強や道標として、単語、文法があります。

 なので、単語や文法が終わっていないのは勿論としても、ある程度の読解が出来ない子も急ピッチで仕上げていってください。
 単語・文法は学校で貰っているものを仕上げれば問題ありません。単語が不安なら最大3冊くらいレベル別に仕上げても良いです。

 英文読解/解釈に関しては、高1の記事でも書きましたが、私は授業では塾専用教材や個人では使いづらい教材(入試長文の重要箇所のみ抜粋されたもの)に補題を足すなどして使用していますので、あまり具体的な指示ができません。
 まあ、このあたりは他の塾や予備校講師などの学参ルートを参考にすれば良いでしょう。何かしら1冊やるだけでも結構変わるはずです。
 「英文解釈」などで検索をかけてみるのが良いかと思います。

 必要な暗記をしっかりこの冬にやり込めば、あとは「探す」読み方を意識して実行できれば、ちゃんと60点以上が狙えると思います。

・60点以上

 現時点での仕上がりはまずまずですので、英作文などの演習も徐々に始めていきましょう。

 英作文も私の授業では学校専用教材に頼りっきりなのであまりどうこう言えませんが、「英語は学習量が全て」というのが真理です。
 なので、書店で何かしら1冊買ってみるのが良いと思います。60点以上取れる力があるなら、参考書の良し悪しや適正レベルかどうかといった判断は十分にできると思います。

 この時期に「2次で出ないから」といった理由で問題形式を絞る理由はありません。特定の問題形式に絞るのは高3の秋以降で十分です。むしろこの時期にそういったことをやると、特定の問題の経験値しか得られず、土台がぐらつきます。
 英作文の構文力は、翻って英語長文の構文力にも影響を及ぼすということです。

 また、記述の問題で大外しして0点になっているものがあったらそれにも注意してください。
 大外ししているのは、「探す」段階で失敗している証拠です。長文の読み方を疎かにしないようにしてください。

 問題相性にもよりますが、次回1月には80点以上を目指していきたいところです。

数学

 まずは「チャートの例題だけで何点取れたか。それは難易度どれくらいか」を調べてください。(2)までは全てチャートの例題レベル3以下であることがわかると思います。

 60点以上の人は、さらに大問(3)で「やってることが実質チャートの例題レベル」の問題がいくつあるかをカウントしてみてください。
 今回のセットだと、多分それでほぼ100点分になると思います。

 それを踏まえて、以下に得点別方針です。

・60点以下

 大問の(2)まではチャートの例題です。今回は(3)の中にもいくらか例題と同等レベルの問題が紛れていました。
 よってやるべきことは超シンプル、「チャートをしっかり仕上げること」です。まずはこれをやって、大問(2)まではすべて解けるようにしてください。
 これで60点は堅いです。それ以上のアドバイスはありません。これを次回目標としてください。

・60点以上

 (3)でもきちんと戦えていますか?調べてもらえば分かりますが、(3)は、やっていることの難易度的にはチャートの例題難易度3~4くらいです。
 解けていない人は、例題の応用力が足りていません。

 解答を見て、「こんなに簡単だったのか~」となりませんでしたか?
 そうなんです。実際、この時期の大問完答は、入試基準で言えば出来て当然の難易度です。
 英語もそうなんですけど、この問題を入試直前期の貴方が解いたら、たぶん30点くらい余裕で上がります。しかも、「何が難しいのか分からない」という感想もセットで抱くと思います。
 これこそが、「応用力不足」の典型的な症状です。

 色々な教材が「応用力を身につける」と軽々しく言いますが、実際はそんなに簡単ではありません。応用力とは思考力のことです。
 思考力を身に付けることを謳う教材の多くは、「特定の解法を引き出すトリガーを暗記させる」ことによって、あたかも自分が考えることができる人間であると錯覚させるものです。
 そういった学習法を繰り返していては、難しい問題の解法を暗記して、それより難しい問題も暗記して…が延々と続くのみです。この連鎖をどこかで断ち切らねばなりません。

 では、真の応用力をどうやって身につけるのか?
 私は「綺麗な答案作り」によって成されると考えています。

 理路整然と道筋を立てる力ができれば、次に何をすべきか、自ずと見えてきます。「1、2、3、4の次は?」と聞かれて「5」以外を答える人はそう多くないでしょう。逆に「5まで並べてください」と言われれば、「1,2,3,4」の順に並べるものです。
 こうした思考を可能にするのが綺麗な答案です。

 特に日本語の説明をしっかり残すようにしてください。
 見たことのない問題で足掻けるかどうかは、どれだけ思考をクリアにできるかにかかっています。

例えば数列の問題では、
問:|Sn|が0に最も近くなるのはどこか?

答:
Snの符号が入れ替わる付近だろうな(見当)
→Sn=0(またはSn<0)を解いてみよう(解答開始)
→ムム、候補のnが2つ出てきたぞ…(行き詰まり)
→代入して調べりゃいいか、どうせ候補は2つだし(見当)
 といった流れ。

 見当をつける段階が、いわゆる思考力を問われる部分

 これらの習慣は日々の思考によって形作られますから、日頃から良い答案を作り続けるほかありません。

 模試で70点止まりの人と90点以上の人との差はここです。
 計算力は大差ありません。勉強量も変わりません。むしろ少ない可能性すらあります。
 日々の学習習慣の違いによって、学習効率や得点効果に天と地の差があるのです。

 次回1月は、このあたりを改めて90点を目標にしていってください。
 基本的にはチャートだけで足りますが、もしチャートに飽きてきたなら1対1対応や標問などの入試典型問題集を使うのも良いと思います。

国語

・現代文

 もうそろそろ難易度は高止まりしています。この時期やりたいのは「現代文のネタ把握」です。

 「現代文はこう読む!」みたいな小手先の読解テクニックが流行していますが、あれは本来「最後の仕上げ」として扱うべきものです。早い段階から小手先のテクで得点する悪癖がつくと、後半伸びません。

 それに、そういったテクニックの多くが、文章の話題に関する背景知識を有していることが前提になっていることが少なくありません。
 3分クッキングで「15分茹でたものがこちらになります」と紹介されるようなものです。

 そうならないためにも、まずは「文章を理解できる」領域にまで教養を身に付けることが一番です。
 その領域にまで行けば、問題を見た瞬間に「ああコレね、どうせアレでしょ」と推測が立ちます。そして、それを探すだけです。「あれ?この条件が無いな。どこかに書かれてるはずなんだけど…」と、逆に自分の答案に欠けているものを把握することもできます。

 なので、この時期にやるべきは現代文のネタ把握です。様々な思想や、現代の諸問題を学んでください。
 学校で配られたり配られなかったりしますが、書店に行けばそれっぽいものが売っています。
 この時期の私の授業では高2の子には毎週現代文を1題解いてもらい、それのテーマや背景知識の解説をしています。それらしい形式のテキストがあるならそれが一番良いです。書店へGO

・古典

 読めてるならOKです。古典も英語と同じで、「難しい箇所」が問題に出ます。そこを読めるようにするための訓練を積んでいきましょう。
 文法と単語だけで全部解決すれば良いのですが、それができるのは国語の先生だけです。実際の読解では文脈把握も重要になってきますので、日々の読解量を徐々に増やしていきたいところです。

理科/社会

 現時点では「できれば良い」という程度で、「出来なかったらダメ」というわけではありません。ただ、あまりにも低すぎたら流石に次回なんとかしてね。
 いま英数国を頑張ってるのは、3年で理社に全力を出すためです。

まとめ

 目標点は個別には言い難いですが、

  • 5割以下の科目は要注意(特に2次で使う科目)

  • 得意科目は8割超えにもチャレンジ

  • 次回、英数国200点満点になる(からもっと気合入れようね)

って感じです。
 まあ、段々とやるべき勉強も明らかになってきたでしょうし、ここから先の時期は色々な受験ポータルサイトでも情報が充実してきますから、あの参考書が良いとかそういった話はそちらを参照してください。

 ちなみに高3の記事は書きません。この時期にかけるアドバイスが「頑張れ」しか無いからです。目の前の試験で1点でも多く取れるように全力を出すだけです。みなさんも来年こうなってます。頑張れ。


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