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【人気No.1日本アニメ】『カウボーイビバップ』実写版に漂う「駄作の風格」

「何コレ?仮装大会?それともギャグなのかしら?」とフェイ・ヴァレンタインなら言いそうなNetflixによる実写版ドラマシリーズ『カウボーイビバップ』のファーストルック写真が2021年8月23日に公開されました。

TVアニメシリーズ『カウボーイビバップ』(Cowboy Bebop)は1998年のサンライズ作品で海外における人気は絶大でした。毎月のように世界各国の国際映画祭やコミコンなどを巡っていた個人的な体感では少なくともゲートウェイアニメとして果たした役割と人気は日本のアニメでナンバーワンだと言えます。

そのNetflixによる実写版『Cowboy Bebop』ドラマシリーズのファーストルック写真公開と同時に、ファーストシーズン(全10話)は今年(2021年)11月19日から世界配信を開始すると発表されました。

人気と注目度の高さ

この発表を『Variety』『The Hollywood Reporter』『Entertainment Weekly』などのエンターテインメント誌をはじめ『The Verge』『Ars Technica』などなどのテクノロジー関連メディアや『TechCrunch』といったスタートアップ関連ニュースサイトまで記事として報道していることを見ても、海外における『カウボーイビバップ』の人気と注目度の高さが分かります。

アニメ作品の実写化に対する懸念

しかし、原作(オリジナル)アニメファンとしては正直なところ実写版ドラマの出来が非常に心配です。そして、今回のファーストルック写真を見る限り、その懸念は一層深刻なものであることが分かりました。

ミスキャスト

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まず、明確なミスキャスト(miscast)です。原作アニメのスパイク・スピーゲルはある程度においてTVドラマシリーズ『探偵物語』の「松田優作」に想を得て創造されたキャラクターです。スパイク・スピーゲル役のジョン・チョー(John Cho)は明らかなミスキャストであり、アジア系俳優に限定したとしても他に適役がいた筈です。それにジョン・チョーなら、まだ噂のあったキアヌ・リーブスの方がましでした。

スパイク・スピーゲル以外の配役、ジェット・ブラック役のムスタファ・シャキール(Mustafa Shakir)もフェイ・ヴァレンタイン役のダニエラ・ピネダ(Daniella Pineda)も、ポリティカルコレクトネスのせいかミスキャストになっています。

妥当なキャスティングといえるのはウェルシュ・コーギー・ペンブロークの「データ犬」アイン役くらいです。

世界観の不調和

また、今回のファーストルック写真で気になるのがコスチュームの出来の悪さです。コスプレではないので原作アニメの衣裳を必ずしも忠実に再現しなければならない訳ではありませんが、背景など他の要素と世界観が合っていないのは問題です。衣裳が浮いて世界観と調和していません。これらならコスプレイヤーの方が断然完成度高いコスチュームに仕上げます。同じNetflixでも衣裳に現代的な要素を加味しつつ世界観と完全な調和を見せていた『The Queen's Gambit』(クイーンズ・ギャンビット)と大違いです。

因みに余談ですが、海外のコスプレイベントでジェット・ブラック本人かと思えるほど完成度の高いコスプレイヤーに遭遇したことを今でも鮮明に覚えています。

さらに、キャラクターの姿勢にも違和感を覚えます。重心の掛け方が本来のキャラクターから掛け離れて見えます。借りてきた猫をそのまま置いただけのような全てが「借り物」の印象です。

一縷の望み

世界観は作品の出来に大きく影響する要素なのでファーストルック写真に世界観の不協和音が見られる作品に期待することはできません。それでも原作アニメで監督だった渡辺信一郎がコンサルタントを務め、原作アニメの素晴らしい音楽を手掛けた菅野よう子が実写版の音楽も引き続き担当することに一縷の望みを託してみるとしましょう。ファンは待つことしかできないのです。

「墓地で待ってる。もちろん、生きた姿でな」

示唆的なスパイクの台詞が頭を過るのを振り払い、ファンは待っています。ビバップ号は既に出航したのですから。

「See You Space Cowboy.」

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