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レビュー Beabadoobee "Beatopia"

畑中修介

 今回は、Beebadoobee(ビーバドゥービー)の2ndアルバム、"Beatopia"のレビューを書いていきたいと思います。

2nd "Beatopia"

 フィリピン生まれロンドン育ち、22歳の若き女性SSW、Beebadoobee。

 EPのリリースや、youtube、tiktok上での楽曲公開によって着実に注目を集めつつ、2020年にリリースした1stフルアルバム、"Fake It Flowers"で大きく飛躍。90年代のオルタナティブ・ロックやグランジから影響を受けたという、エッジの効いたロックサウンドと絶妙なポップセンスが高く評価され、コーチェラやグラストンベリー等、多くの大型フェスへの出演を果たすなど一躍ブレイクを果たした。

Beabadoobee

 前作から約2年、2枚目のフルアルバムとなる本作のタイトル"Beatopia"は、彼女が幼少期に現実逃避として思い描いていた空想世界の名前にちなんでいるのだという。

 そのタイトルが持つイメージの通り、本作では前作のようなエッジの効いたギターロック色は薄れ、代わりにドリームポップのような浮遊感と幻想的な世界観に溢れた楽曲の割合が増えたように思う。

 前作のオルタナ路線を色濃く継承しているといえるのは、キャッチーさが光るパワーポップナンバーの#2 "10:36"、歪んだギターサウンドが前面に出た#8 "Talk"、終盤にディストーションギターが爆発する#12 "Don't Get the Deal"あたり。この3曲をバランス良く配することでアルバム全体が引き締められている。また、彼女の音楽的アイデンティティのようなものを感じた。


 それ以外の楽曲は、サウンド面での特徴はそれぞれ違えど、雰囲気としては統一感を感じさせる。


 特にドリームポップ的なアプローチを強く感じたのは、プロローグ的な位置付けの#1 "Beatpia Cultsong"と、#4 "See You Soon"。非常に浮遊感があり幻想的なサウンドだ。


 #3 "Sunny Day"ではアコースティックギターと打ち込みのサウンドが上手く調和している。


 #5 "Ripples"、#6 "The Perfect Pair"の2曲は、雰囲気こそ異なるものの、どちらもストリングスを効果的に使用している。#5ではアコギの素朴さに壮大さを付与し、#6では淡々と速いテンポで刻まれるビートが放つシリアスな雰囲気に柔らかさを付与している。


 アコースティックギターによる、素朴でローファイなフォークを展開しているのは、#7 "Broken Cd"と#14 "You're Here That's the Thing"


 反対に、エレクトロニカ要素を強く打ち出しているのは、瑞々しい電子音とアコギの融合が心地よい#9 "Lovesong"と、大胆に電子音と打ち込みを導入した#13 "Tinkerbell Is Overrated"


 #10 "Pictures Of Us"と、#11 "Fairy Song"の2曲は、サウンドの輪郭が明瞭で、生のバンドサウンドの質感を感じさせる良質なインディーロックと言える。#10では、レーベルメイトであり、かつてツアーのサポートアクトも務めたThe 1975のフロントマン、マシュー・ヒーリーが楽曲制作およびボーカルとして参加している。



 アプローチのバリエーションは豊かだが、とっ散らかっている印象は無く、むしろアルバムのコンセプトに沿ってよく統一されていると感じた。今後の彼女の更なる飛躍に期待したい。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。

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畑中修介
音楽好き(特にインディーロック/エモ)