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個人的Andy Shaufの名曲Best10

 今回は、11月に来日公演を控えるAndy Shaufの名曲Best10ということで、完全な独断と偏見によるランキングを作成しました。

 ランク付けの基準は2つ、メロディの良さと、サウンドメイキングの巧さです。

 Andy Shaufの魅力と言えば、まずは字余りかつ美しいメロディライン。枠からはみ出してしまうほどに言葉数を詰め込みながらも成立させてしまう技。彼にしか生み出せない、唯一無二のメロディと言っていいでしょう。

 それから、フォーキーで繊細なサウンドを軸としつつも、クラリネットやシンセをさり気なく取り入れる巧さ。ほとんど全ての楽器を自ら演奏するマルチプレイヤーの彼ですが、サウンド面の面白さ・巧さも、間違いなく彼の音楽の魅力の一つでしょう。

 個人的に、そんな彼の良さが存分に出ているなと思う10曲を選出しました。彼のことをよく知らないという方は是非、来日公演前の参考にして頂けたら幸いです。

 それでは10位から行きます。

10位 Green Glass

Album:Wilds(2021)

 この楽曲が収録されている『Wilds』というアルバムは、その前作の『The Neon Skyline』のアナザーストーリー的な位置づけで書かれた楽曲たちであり、ラフなサウンドメイク、肩の力の抜けたリラックスした雰囲気に溢れた作品です。そのため、クラリネットやシンセによる味付けも殆ど無く、ほぼ弾き語りでモノトーンな色彩が作品を包んでいます。そんな中でこの『Green Glass』という楽曲は一際目立っています。素朴なアレンジなのは他の楽曲と変わりませんが、ギターの爽やかな音色が鮮やかで、作品に色彩を与えてくれているのです。この楽曲においては、歌よりもギターの方が主役に近いと言えそうです。爽やかなギターメロディが魅力の一曲。


9位 Hometown Hero

Album:The Bearer Of Bad News(2015)

 2015年リリースの『The Bearer Of Bad News』からは唯一の選出となりました。アルバムの幕開けを飾るこの楽曲は、素朴な中に遊び心が垣間見えるアレンジが魅力です。メロディは言葉数多めながらも非常にキャッチーで、クラリネットも主役級の働きを見せています。近年のライブでは、2016年リリースの『The Party』以降の楽曲がセトリの大半を占める(というか全部?)ため、なかなか生で聴けるチャンスは少なそうですが、やってくれたら嬉しい楽曲の一つですね。


8位 Jaywalker

Album:Wilds(2021)

 10位の『Green Glass』に続き、『Wilds』から2曲目の選出です。ただ、『Wilds』の楽曲も今年のツアーではあまり演っていないようで。割と最近のリリースではあるので、2015年以前にリリースされた楽曲に比べれば、セトリに組み込まれる可能性は高いと思いますが、果たしてどうなるか。この曲は、爽やかな『Green Glass』とは対照的に、シリアスな雰囲気に包まれています。ビートはずっしりと重く、ギターとクラリネットの響きはどこか不穏で危うさを秘めています。歌メロ、クラリネットのメロディ、ともに秀逸な良曲。



7位 Norm

Album:Norm(2023)

 最新作『Norm』の表題曲です。これまでのツアーでは、最新作は全曲披露しているようなので、11月の来日公演でも間違いなくやってくれるであろう楽曲です。最新作では、これまであまり取り入れられてこなかったシンセが全体的に多く使われています。リリース当初、私はこのサウンドの変化に戸惑ってしまったのですが、今ではこのアルバムの世界観を表現するのに欠かせないものだと腑に落ちるようになりました。微睡むような優しいキーボードの音色に、ぼやけたような淡いシンセの音色が重なる瞬間は神秘的でさえあり、最も効果的にシンセが活かされた楽曲だと感じます。



6位 Things I Do

Album:The Neon Skyline(2020)

 6位以降は全て、『The Party』と『The Neon Skyline』からの選曲になります。この2枚のクオリティは、彼のキャリアの中でもずば抜けていると思います。この曲のリズムは非常にタイトでビートは強め。シリアスなムード、何度も反復するようなメロディ、クラリネットのドラマティックな響き、それらが静けさの中で徐々に熱を帯びていく展開に思わず惹き込まれます。


5位 Where Are You Judy

Album:The Neon Skyline(2020)

 ややダークでシリアスな世界観の『The Neon Skyline』にあって、温かみに溢れた、優しい雰囲気を持った楽曲です。一曲の中で細かくシーンが切り替わっていくような、様々な表情を見せてくれる楽曲です。それだけアレンジが多彩。ただ、どれも本当にさり気ないんです。そして、それらがあくまで自然にシームレスに繋がれています。まさに職人、マルチプレイヤーのなせる技。


4位 The Worst in You

Album:The Party(2016)

 キャリア史上、最も素直でシンプルなメロディラインなのではないでしょうか。すんなりと馴染みやすいキャッチーなメロディながら、何度聴いても飽きさせない。究極の理想。サウンド面も優しくキャッチー。個人的に今回の記事で最もプッシュしたい、やや影に隠れ気味な気もする名曲。


3位 Neon Skyline

Album:The Neon Skyline(2020)

 この記事の冒頭に書いた、「字余りなメロディ」って何のこと?と思った方。是非この曲を聴いてください。これを聴いて頂ければ分かるはず。ダントツで字余りな一曲。怒涛の言葉数の多さと、それをメロディラインに違和感なく落とし込む技術。タイトなリズムに乗せた、カラフルで楽しいサウンドメイクと、らしさ満点のメロディ。どこを切り取っても優秀な、アルバムの1曲目にして表題曲。


2位 Try Again

Album:The Neon Skyline(2020)

 「字余りなメロディ」って何のこと?と思った方に聴いてほしい曲Part2。そして彼のキャリアの中で間違いなく最もキャッチーでポップでカラフルなサウンド。そのため、普段インディーフォークを聴かない方や、インディーフォークってちょっと地味じゃない?という方への入り口としても最適な楽曲かと。


1位 The Magician

Album:The Party(2016)

 2016年リリースの大傑作『The Party』の1曲目を飾る名曲。近年のライブでは、アンコールでやってくれるパターンが多いようです。この曲はメロディも良いですが、それ以上に凄いのがサウンドメイキング。あくまで"インディーフォーク"の範疇の中には留まりつつ、その中で出来得る最大限の豪華絢爛なサウンドメイクではないかと。ストリングスを有効に使いつつも、そこに頼り過ぎることもなく、絶妙な味付け。間違いなく彼の代表曲。



 今回は完全に私個人の主観でランク付けをしましたが、まだまだ他にも素晴らしい曲が沢山ありますので、興味を持って頂けた方は是非聴いてみてください。そして11月の来日公演もまだチケットあるようなので是非。(彼のファン層とモロ被りであろうAlex Gとの日程被りで、頭を悩ませている方も多いようです。)

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