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2023.12.1 ALVVAYS@神田スクエアホール

 昨日はAlvvaysのライブを観てきました。

神田スクエアホール

 前回の来日は2019年のフジロック。それ以降は、2022年に長い沈黙を破るまでの間、リリースやライブ活動はおろか、公式SNSへの投稿さえも全く無い状態でした。

 後のインタビューで、ボーカリストのモリー・ランキンの自宅からデモ音源が盗難に遭っていたことや、その翌日に洪水でバンドの機材が壊滅状態になってしまったこと、そしてそんな状況とコロナ禍が重なったことなどを明かしてくれました。

 一時のあまりの音沙汰の無さから、解散や、事実上の活動休止状態では?と心配していただけに、また姿を見られて感慨深いものがありましたね。

 その間にメンバーチェンジもあり、新たなベーシストを迎えての初来日です。

 昨年リリースした傑作3rd『Blue Rev』を引っ提げてのツアーということで、セトリは新作が中心。ほぼほぼ全曲を披露してくれました。

3rd AL『Blue Rev』

 ほぼ予定通りの時刻に5人が現れると、1曲目は勿論『Pharmacist』。シューゲイザー色全開の3rdを象徴するノイジーなギターサウンドで一気に引き込まれます。ギタリストのAlec O'Hanleyはグイグイ前に出るタイプではないですが、数々の痺れるギターソロを披露してくれました。

マクドナルドTシャツ着用
ギタリストのアレック

 2曲目の『After The Earthquake』は後半に長めの静寂があり、その静寂を激しいドラミングで突き破るのですが、2017年から加入したドラマーのSheridan Rileyがいかにパワフルかがよく分かります。特にテクニカルさやタイトさを感じるドラマーでも無いのですが、『Blue Rev』特有の、瑞々しさと荒々しさが同居した雰囲気を創り出したのはこの人の手数の多いドラミングによる貢献がかなり大きいのかなと個人的には思ってます。初めて3rdを聴いた時の私の印象が、『ドラム激しいな』でした。

ドラマーのシェリダン。3rdは加入後初のアルバム。

 3曲目には2ndからの代表曲『In Undertow』。この大名曲を序盤で繰り出せるほどに、彼らにはアンセムが多い。

 続いて、グッドメロディとコーラスワークが爽やかな『Many Mirrors』。モリーとは幼馴染のキーボード奏者、Kerri MacLellanによるコーラスが心地良い。3rdはシューゲイザー要素が強いのでどうしてもノイジーなギターが目立ちますが、彼女のコーラスはやはりAlvvaysのノスタルジックな雰囲気を作る上で欠かせません。

キーボードのケリー。よくオアシスTeeを着ている

 その後は、レトロすぎるシンセが異色な『Very Online Guy』と、初期の人気曲を3曲続け、中盤のハイライトに『Belinda Says』。鮮烈なメロディを凝縮したような楽曲で、ライブ映えするのは勿論のこと、Molly Rankinの発する高音はどこまで伸びるのかというほどに伸びやかで、しなやか。優れたソングライティング、バンドのアイコン的存在としての華やかさ、素晴らしい才能の持ち主だと改めて思いました。

ボーカルのモリー
バンドのアイコン的存在

 後半戦で印象的だった曲は疾走感溢れる『Pressed』。3rdアルバムを最初に聴いた時は、テンポの速い曲の多さ、目まぐるしい怒涛の展開に面食らった部分もあったのですが、今となってはその少々荒々しいところも含めてお気に入りのアルバムです。この曲はそんな3rdの中でも1、2を争うアグレッシブな楽曲。ベーシストのAbbey Blackwellは影に隠れがちですが、実はソロ活動も行っており、ソングライターとしての顔も持っています。ジャズやクラシックの分野でも活躍していたそうで、周りをよく見ながら堅実なプレイに徹していました。パワータイプのシェリダンと良いコンビだと思います。

ベーシストのアビー

 直近のライブではずっと本編ラストだった『Easy On Your Own?』を少し前に持ってきて、今日はラストに『Archie, Marry Me』を持ってきたのか、いやあ今日のライブ最高だったなあ、なんて思うや否や、間髪入れずにまさかの『Pomeranian Spinster』。個人的にこの瞬間が今日のハイライト。ぶち上がりました。正直この曲は少しヨレてるような外した感じがあまり好きではなかったんですけど、この展開の中で聴いたらだいぶ印象が変わりました。特にアウトロのドライブ感満載のギターが格好良い。この曲をラストに持ってくるとは思いませんでした。

 本編が終わり、アンコールで再登場するまでは多分1分足らず。最速で登場すると、観客にリクエストを募るモリー。私の体感的には『Party Police』の声が多かった気がしましたが、選ばれたのは『Next of Kin』。いやあParty Police聴きたかった。最後は『Lottery Noises』で締め、トータルでも70〜80分ほどで終了。パフォーマンス自体は文句無しに素晴らしかったですが、随分あっさりしてるなとは思いましたね。笑

 またの来日をお待ちしております。

<セットリスト>
01. Pharmacist
02. After The Earthquake
03. In Undertow
04. Many Mirrors
05. Very Online Guy
06. Adult Diversion
07. Not My Baby
08. Hey
09. Tom Verlaine
10. Belinda Says
11. Bored In Bristol
12. Ones Who Love You
13. Velveteen
14. Pressed
15. Dreams Tonite
16. Easy On Your Own?
17. Fourth Figure
18. Archie, Marry Me
19. Pomeranian Spinster
En1. Next of Kin
En2. Lottery Noises

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