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Sigur Rós(シガー・ロス)全アルバム聴いてみた

 今回は、アイスランドを代表するロックバンド、Sigur Rós(シガー・ロス)の来日決定を機に、シガーロス超初心者の私がワールドツアーの予習として、オリジナルアルバム全7作品を各1周ずつ聴いてみて、その率直な感想を綴っていくという企画です。

8月に来日が決定

 私と同じように、初心者だけど今回のツアーへの参加を検討しており、サクッと予習がしたいという方のお役に少しでも立てたら幸いです。

 それでは早速、1stから順にいきましょう。


1997年 1st
 "Von"

 アンビエント要素が非常に強く、リズムやメロディが存在しない、抽象的な楽曲が大半を占めています。煌めきや美しさといった要素を感じるような性質のものでもないですね。実験的で、不気味です。もうアートワークからして既に不気味ですが。正直なところ、のちに世界的ブレイクを果たすような大器の片鱗のようなものを、私はこのデビュー作から感じ取ることができませんでした。

お気に入りトラック:Myrkur





1999年 2nd
 "Ágætis byrjun"

 アンビエント色の強かった1stから、ロックバンドとしてのアンサンブルが感じられるサウンド、よりメロディが鮮明な楽曲の割合が増え、しっかりと輪郭を伴った音楽へと変貌を遂げています。また、1stでの不気味でダークな世界観が消え、神秘的・幻想的な美しいサウンドが展開されている点も特筆したいポイント。壮大なスケール感も獲得しています。本作からは、世界的ブレイクを果たす直前の存在感、オーラを感じました。

お気に入りトラック:Olsen Olsen





2002年 3rd
 "( )"

 2ndで示した、神秘的かつ幻想的な美しいサウンドと、壮大なスケール感。その持ち味を極限まで高めるとともに、余計な要素を削ぎ落とすことで、より彼らの魅力が際立った作品になっていると感じました。この作品を聴いていると、まるで雄大で荘厳な自然の中を一人で歩いているような、孤独な旅を連想させられます。孤独を感じながらも、大自然から力を与えられるような、そんなポジティブな響きも伴っていると思います。終盤にかけて、バンドサウンドが肉体的躍動を見せる力強い展開からも、進化を感じさせられますね。

お気に入りトラック:Untitled #3 (Samskeyti)





2005年 4th
 "Takk..."

 3rdが荘厳な大自然を連想するような重厚な響きを伴うサウンドだったのに対し、本作はまるで教会音楽のような、眩いほどに光煌めく優しいサウンド。サウンド面での変化はありつつも、前作で獲得した力強いバンドサウンドやメロディックなボーカルは健在です。個人的には、"動"の3rd、"静"の4thで対をなす、彼らのキャリアの中でも双璧となる存在だと感じています。

お気に入りトラック:Hoppípolla





2008年 5th
 "Með suð í eyrum við spilum endalaust"

 1曲目のフィジカルの強さと躍動感、2曲目の色彩豊かな音像。過去作とは明らかに異なる雰囲気を放つ作品。抽象的だった1stから、リリースを重ねる度にメロディックさを増し、音像が鮮明になってきていますが、間違いなく、本作が彼らのキャリア史上最も聴きやすい、キャッチーなアルバムでしょう。ある意味で、異色な存在とも言えるかもしれません。入り口としては最適かと思います。

お気に入りトラック:Festival





2012年 6th
 "Valtari"

 あえて霧がかかったような、ぼやけたような音像を創り出しているように感じます。常にキャッチーさを更新し続けてきた彼らですが、本作ではそこには拘らず、初期のアンビエントな要素から、前作のメロディックでフィジカル強めな路線までを幅広く吸収しており、バランス感覚に優れた作品に仕上がっていると思いました。キャッチーさの追求は前作で一区切りとし、原点回帰しつつ、そこに成熟したセンスを加えた、円熟味に溢れたアルバムと言えるでしょう。

お気に入りトラック:Rembihnútur





2013年 7th
 "Kveikur"

 過去作はほぼ全作が1時間超えなのに対して、史上最もコンパクトな全9曲48分。その分、一曲ごとの強度・存在感も増してる感がありますね。初っ端から強靭で重厚なバンドサウンドを展開しています。ダークでシリアスな雰囲気を醸し出してはいますが、サウンド面でのアプローチが多彩な分、彼らのキャリアの中では非常にキャッチーな部類に入る作品だと思います。そういう意味で、意外性のあるアルバムだなと感じました。

お気に入りトラック:Ísjaki





最後に、個人的に好きだった順番を。

<好きな順番>
1. Með suð í eyrum við spilum endalaust
2. Takk...
3. ( )
4. Kveikur
5. Ágætis byrjun
6. Valtari
7. Von

基本的に、キャッチーさの順番通りになっていると思います。なので、シガーロス初心者の方や、ポストロックやアンビエント初心者の方に、是非ご参考にして頂ければと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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