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2023年上半期よく聴いた音楽【ベストアルバム】

 今回は、2023年上半期の各月における、個人的ベストアルバム+次点を挙げていきたいと思います。


1月 Phum Viphurit『Greng Jai Piece』

1月はタイのSSW、Phum Viphuritの2nd。リリース当初からずっと好きではあったんですけど、聴く度にじわじわ自分の中での評価が上がっていって、マネスキンやカネコアヤノよりも上の位置に。1月はジョナ・ヤノの2ndも良かったので、個人的に大豊作でした。

タイの伝統的な楽器を取り入れることで、祝祭的でエキゾチックな雰囲気を醸しつつ、小気味の良いギターワークと打ち込みによる都会的な洗練されたサウンドが上手くブレンドされていて、それがわざとらしくなく自然。有りそうで実はなかなか無いサウンドなのかなと感じ、ぐんぐん好きになっていきました。

次点はMåneskin『RUSH!』。曲数がやけに多かったり、曲順が所々「?」だったり、意図してのことなのか?乱雑な感じもしますが、そういうモヤモヤをパワーで捻じ伏せられた感じ。楽曲の強度が凄いし、これだけの存在感持ったバンドはなかなか居ないと思いますが、その存在感に対して楽曲の質もしっかり付いていってる感じが素晴らしいなと。


2月 Paramore『This Is Why』

2月はParamoreの6thを選出。2月に限らず、間違いなく今年最も聴き込んでいるアルバムの一つ。

優れたソングライティング、ミニマルでシンプルながら多彩なサウンドプロダクション、ともに非常に洗練されていながら、ルーツであるポップパンク/EMOの精神溢れるフィジカル的躍動感も見事に残し、初期からのリスナーまでも納得させられる会心の仕上がりと言えるでしょう。

次点はAndy Shauf『Norm』。リリース当初は駄作かと思いましたが、その後少しずつ持ち直してきました。何やかんや言っても独特のメロディセンスは流石。それでもやはり彼のキャリアにおいては傑作とは言い難いですが。彼のファンなだけに。


3月 Boygenius『The Record』

3月はBoygeniusの1stアルバム。これも圧倒的に文句無しの選出です。

感情豊かに力強く歌い上げるJulien Baker、繊細な歌声で美しく囁く Phoebe Bridgers、聴き手を優しく包み込むように語りかける Lucy Dacus、個性豊かな3人の才能がしっかりと発揮されつつもぶつかり合うことなく上手く調和。コーラスワーク、ハーモニーが美しい、エネルギーに満ち溢れた傑作。

次点はAltın Gün『Aşk』。トルコ系オランダ人の男女ボーカルを擁する6人組サイケロックバンド。と言うだけで、何だか取っ付きづらく感じる方も居るかもしれませんが、エキゾチックな独特のサウンド、躍動感・グルーヴ感溢れるロックサウンドが癖になるので是非。


4月 Fenne Lily『Big Picture』

4月はUKブリストル出身のSSW、Fenne Lilyの3rd。派手さは無いものの堅実な良作揃いだった4月を象徴するような一枚。

『地味ながら良いメロディ』を10曲繰り返す感じで全曲良いです。2ndにもそういう傾向ありましたけど、更にグッドメロディに磨きがかかっています。どこか物悲しいムードだった前作から一転、ポジティブな温かみに溢れた優しい音像となっていることも魅力の一枚。

次点はDaughter『Stereo Mind Game』。ドリームポップ/シューゲイザーな空気感を纏ったロンドンの3ピースバンドで、ボーカルElena Tonraの憂いを帯びた歌声と、儚く美しいメロディが魅力。この手のバンドにしてはメランコリック過ぎず、バンドサウンドが前面に出ているのもgood。


5月 Gia Margaret『Romantic Piano』

5月は迷った末にGia Margaretの3rdを選出。ここはArlo Parksとの大接戦でした。

 Gia MargaretはシカゴのSSW。病気で歌声を失ってしまったことにより、2ndからインストゥルメンタルへと転向すると、インストの才能が開花。療養により既に歌声は回復しているにもかかわらず、3rdでもインスト路線を継続することを選びました。フィールドレコーディングによって採取された実際の鳥の囀りや木々の揺れる音などをバックに鳴らされる静謐で美しいピアノの音色が素晴らしい。

次点はArlo Parks『My Soft Machine』。こちらも素晴らしい出来。前作での大きな成功から、守りに入ることなく攻めてきたなと。R&Bを軸としつつ、前作よりも更にインディーロック側へと寄った印象のハイブリッドな音像。3曲目の"Devotion"に衝撃を受けました。


6月 Foo Fighters『But Here We Are』

大激戦の6月はFoo Fightersの11th。個人的に、シガーロスやキング・クルールとの熾烈な争いでした。

昨年3月に急逝したドラマーのTaylor Hawkinsと、同じく昨年他界したデイヴの母へと捧げたアルバムとなっており、非常にエモーショナルな歌唱と演奏が、作品全体にドラマティックさを与えています。要所にロックバラード調の楽曲も配しつつ、彼ららしいヘビィでラウドな楽曲もしっかり収録。バンドのキャリアをも代表する渾身の作品と言えるでしょう。

次点はSigur Rósの実に10年ぶりとなる8th『ÁTTA』。ドラムがほとんど登場せず、終始ストリングスを軸としたサウンドを展開しており決してキャッチーさは有りませんが、鮮明で力強い、荘厳で神秘的な音像は過去のどの作品とも似ていないと思います。唯一無二な個性を持った強力な一枚。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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