【デスキャブ来日】Benjamin Gibbard『Bandwagonesque』(2017)
デスキャブのベンは2017年に、Teenage Fanclubの不朽の名作『Bandwagonesque』を丸ごとカバーしたアルバムを発表している。
Teenage Fanclubから影響を受けたアーティストなど全く珍しくないし、むしろTFCほど幅広い層からのリスペクトを集めているバンドはそうそう居ない。
デスキャブがTFCとは多少タイプの異なるバンドとは言え、ベンがカバーアルバムを出していることにさほど意外性も無いだろう。
では、原曲のイメージからは想像もつかないような何か変わったアプローチをしているのか?と聞かれれば、答えはノーだ。
本作はベンが自らプロデュースを手がけ、TFCとは異なるアレンジが施されてはいるが、気を衒うような試み、「そう来たか」と唸るような展開は何一つ無い。
あるのは、Teenage Fanclubという稀代のバンドが紡ぐ珠玉のメロディ、美しいハーモニーへの愛とリスペクトのみ。
「自分の個性を出してやろう」とか「原曲を超えてやろう」とか、そういう邪念や色気みたいなものを一切感じない。
聴いている側としても、「カバーアルバムとして優れているか」とか「原曲と異なる点はどこか」とか余計なことは何も考える必要がなく、「やっぱTFC良いよね、うんうん分かるよ」と、ただただ共感していればいい。
↑TFCのノーマン・ブレイクとベンの過去の対談記事。
過去にはデスキャブ名義でも『Start Again』をカバーするなど、TFC愛を全開にしてきたベン。
サウンド面でのアプローチは違えど、目指す地点は同じ。
良いメロディ、一捻りある構成、味わい深い歌詞・・・
TFCがそうであるように、デスキャブにもまた、その系譜が脈々と受け継がれていくようなバンドであり続けてほしい。
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2025年1月に開催される新たな音楽フェス『rockin'on sonic』にて、デスキャブの5年半ぶりとなる来日公演が決定した。
2019年のフジロック、滝行と呼ばれるほどの大雨に打たれながら彼らのパフォーマンスを観たのは忘れられない良い思い出だが、White Stageに架かる橋を飲み込まんばかりに河川の水位が上昇した影響もあり、予定していた曲数が削られるというハプニングが発生。それでも大満足ではあったが、ほんの少し残念な思いもあった。
定番の曲は勿論のこと、新年早々に聴く『The New Year』をはじめ、5年前には披露されることのなかった曲も交えたセットリストに期待したい。
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余談だが、先ほどリンクを貼ったノーマン・ブレイクとベンの対談記事の中で出てきた『The Concept』のアウトロの長さについて。原曲では約3分なのに対し、カバー版は約5分。ベンはThe Cribsのギャリーとの約束(?)に対して有言実行した形になった。