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サイモンとガーファンクル「木の葉は緑」

サイモンとガーファンクル「木の葉は緑」 Leaves That Are Green


軽快な前奏と共にポールの早口の歌で始まるさわやかな歌。

I was twenty one years when I wrote this song
この歌を書いた時、僕は21歳だった
I'm twenty two, but I won't be so long
今は22歳、でもそれも長くはない
Time hurries on
時は足早に過ぎていく

Lyric & Music by Paul Simon  ©Paul Simon 1966 以下出典すべて/日本語 by musiker

「ザ・サウンド・オブ・サイレンス」(ヒットしたエレクトリックギターを加えたバージョン)が第1曲目に収録されている第2作アルバム「サウンズ・オブ・サイレンス」。第2曲目。とてもシリアスでダイナミックな「サウンド・オブ・サイレンス」と対照的な、その軽くて明るい雰囲気がいっそう印象的に感じます。

歌のメインテーマは、2コーラス目に出てくる、かつて心を支配していた少女への恋心と失恋。嵐のように過ぎ去った出来事の心情を歌っています。

ソングライターに限らず人間の心、特に若者には常に恋へのあこがれと葛藤があります。多くの歌の底にはそういう「心」が流れています。永遠のテーマといえるかもしれません。

その表現手段は、アーチストによってさまざまです。

マーラーという作曲家が自ら詩を書いた「さすらう若人の歌」で歌われているのも失恋の痛み。マーラーはその心情をオーケストラの伴奏による歌曲で、大がかりに表現しました。

一方ポール・サイモンは、覚えやすいメロディとテンポのいい軽いアレンジで、わずか2分21秒の短い歌で表現します。

そして、恋の歌でありながらも、やはりポール・サイモンの歌らしく、恋の心情を超えた何かを問いかけている。何度も聞けば聴くほどそんな思いが強くなります。

3コーラス目では、河に小石を投げてできたさざ波を見ている様子が歌われます。河に石を投げる。誰もがやってみたことがあると思いますが、さて、人はなぜ河に石を投げるのでしょうか?

それは心の中の何かを捨てるためかもしれません。この歌では、捨てた石がさざ波を生みます。でも何の音も返ってきません。これも「静寂の音」なのでしょうか。

And they never made a sound

このフレーズのポールとガーファンクル2人のハーモニーがとても美しい

全4コーラスの後半で歌われる次の3行が、いわばこの歌のサビといえる部分。繰り返されるこのメロディと詩が、私たちの中に、余韻として静かに、そして強く残ります。

And The Leaves That Are Green turn to brown
緑色の木の葉は茶色に変わり
And they wither with the wind
風と共に色あせ
And they crumble in your hand
君の手の中で粉になる

そしてきわめつけは、4コーラス目の詩、

Hello, Hello, Hello, Hello
Good-bye, Good-bye, Good-bye, Good-bye,
That's all there is

ハロー、グッドバイ、あるのはそれだけ

「ハロー」と「グッドバイ」2つの言葉の繰り返し。
でも、なぜか心を強く揺さぶります、、、、。


ポール・サイモンは、実際に恋の歌として「木の葉は緑」を書いたのでしょう。でも、私はこの歌は、

「時」をうたい、日々年老いていく人生の「寂しさ」をも暗にうたうたう

のだと思っています。


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