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“TikTokの影響”から“K-POP勢の行方”まで〜第65回グラミー賞ノミネート

現地時間11月16日、第65回グラミー賞のノミネートが発表された。全91部門のラインナップとノミネートの詳細は以下サイトにて。

2023 GRAMMY Nominations: See The Complete Nominees List

今回のグラミー賞ノミネートでのトピックをまとめると、Beyoncéが最多9部門(主要4部門では3部門)、続いてKendrick Lamarが8部門(主要では3部門)、さらに7部門でAdeleとBrandi Carlile、6部門でMary J. Blige、DJ Khaled、Future、Harry Stylesがノミネートされており、誰がいくつ受賞するか、主要部門の行方はどうなるか、来年2月5日にロサンゼルスで開催される授賞式まで要注目だ。

ちなみにノミネート発表を受け、海外の主要メディアでは今回のグラミー賞に関する記事が多数アップされている。その中でも興味深いトピックを3つ紹介していく。

TikTokがもたらした栄光

Pitchforkの記事では“Grammy voters are wasting their lives scrolling through TikTok too”という見出しでTikTok上における楽曲のヒットとその影響を取り上げており、特にSteve Lacy「Bad Habit」にスポットを当てている。

Steve LacyといえばThe Internetへの参加を皮切りに、Kendrick Lamar、Tyler, The Creator、Vampire Weekendらの楽曲でその手腕を発揮するなど、当初は知る人ぞ知る存在だった。だが、TikTokで「Bad Habit」が大ヒットしたことで状況は一変したと言っていいだろう。そう、「Bad Habit」は彼をグラミーという舞台にまで導いたのだから。

また、TikTokにまつわるノミネートとしてRosalíaが新アルバム『MOTOMAMI』リリース時に配信したライブパフォーマンスもBest Music Filmに入った。スマホの画角やエフェクトを活かしながら、カラフルなファッションにコスチューム、画面を回転させてのアクションなどTikTokだから楽しめる映像体験を提供してくれている。

新設された5つのカテゴリ

6月には発表されていたが、今回のグラミー賞では新たなに5つのカテゴリが設けられた。新設されたのは、Songwriter of the Year (Non-Classical)、Best Score Soundtrack for Video Games and Other Interactive Media、Best Alternative Performance、Best Spoken Word Poetry Album、Best American Performanceで、現代に合わせたもの、これまでは見過ごされてきたであろうポジションなどにもスポットを当てているのが特徴だ。

ゲーム音楽やそれを取り上げるメディアにも注目したBest Score Soundtrack for Video Games and Other Interactive Mediaも面白いが、今回のノミネートではSongwriter of the Yearのラインナップが興味深かった。自身もシンガーソングライターとして活躍するTobias Jesso Jr.や重鎮のThe-Dream、現nzai25歳ながらすでに数多くのヒットナンバーを手がけているNija Charles(Nija名義でも活動)らが肩を並べている。同カテゴリの誕生によって、ソングライティング面でのみによる評価が可能となったが、今後どのような影響をもたらすのか。

BTS、BLACKPINKらK-POP勢の行方

3年連続でBest Pop Duo/Group PerformanceにノミネートされたBTS(今回はColdplayとの「My Universe」にて選出)。「Yet to Come」でBest Music Videoにも選ばれたことで、初のグラミー複数部門ノミネートを果たす快挙を成し遂げた。Best Pop Duo/Group Performanceにおいては「Dynamite」(2020年)、「Butter」(2021年)でもノミネートされたがいずれも獲得できず。「My Universe」はBTS単体ではなくColdplayとのコラボ曲だけに受賞する可能性も高いかもしれない。

米Rolling Stoneの記事ではBLACKPINKがノミネートされなかったことについて言及。9月に2ndアルバム『BORN PINK』にてカムバックしたBLACKPINKだが、今年はグラミー以外でも『2022 MTV EMA』(Best Metaverse Performanceなど2冠)を受賞するなどさらに国際的な活躍を見せている。

BLACKPINKがノミネートから外された明確な理由はわからないが、グループでの活動が休止状態にあるBTS以外のK-POPグループの勢いが、今後グラミー賞にどのような一石を投じるのかも要チェックだ。



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