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SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL   『COUNT 9 』ヴォーカル・インタビュー (後半)

声に寄った、アルバム『COUNT 9』制作時の話

SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL『COUNT 9』ジャケ写

今回のレコーディングって、リードシンガーが2 人っていうことで、ボーカリスト同士お互いにジャッジし合える

伊藤:イントロの「Unity」っていう曲があるんですけど、あれ結構あのハーモニーをね、2人で歌ってるって思った方がちらほらいて。
でもあれ、藤井氏は最後の声しか歌ってないんです。ドラムのロールと一緒に出てくる叫び声しか。

藤井:叫び声だけ。実は俺もちょっとやりたかったんだけど、気づいたら伊藤くんが全部やってて、“あれなんで1 人?全部1 人でやっちゃうの?”みたいな。まあいいか、っていう。(笑)

伊藤:そう、だってあれ、重ねてまた重ねてとか思ったら、時間足んなかったですもん。

藤井:確かにね。

―私も2 人で歌い分けてるのかなって思ってたんです1 曲目。

伊藤:良いハーモニーみたいなところの判断基準が多分似てるからそうなってったのかなとは思いますね。2 人で歌ってるところも、僕が1 人で歌ってるところも同じような価値判断でジャッジをしてるんで。

藤井:普通のバンドだったら、ボーカリスト以外、プロデューサーとかディレクターがジャッジしたりとかあると思うんですけど、今回のレコーディングって、リードシンガーが2 人っていうことで、ボーカリスト同士お互いにジャッジし合えるっていう。
なんだろうな、すごくすっと入ってくるっていうかね、歌ってる人だから、言ってる人も。歌のことわかってる人だから、やっぱり。若干闇雲に言われたりとかする、こういう感じでとか…。

伊藤:そうそう、そういうストレスはなかったですね。

藤井:全然ないな。

伊藤:ストレスって言ったら普段やってもらった人に悪いんですけど。

藤井:明確ってことよ。

伊藤:だから例えば、声が詰まってるときに「もうちょっと上顎の方に響かせるように歌ったら?」とかって話が出てくるじゃないですか、ボーカリストだと。
普段歌わない人だと、「なんか抜け悪いですね」とかって言われて、どうしたらいいんだろう?ってなったりすることは多々あるんですね。今回そういう悩むシーンはなかったかな。

藤井:すぐ腑に落ちるからね。そういうのありましたね。

―今回のレコーディングでは、どのように歌録りは進められたのですか?

伊藤:そうですね、僕はプロデューサーって立場なので、今回ツインボーカルとはいっても7 割がたシゲさんメインの曲がほぼほぼなので、まずは藤井重樹のいい歌を録るっていうところを最優先して録って。

メインの歌が録れた時点で、それに対して今度は僕がリードボーカルやコーラスを入れたり。そのときはシゲさんがスタジオにいることも多かったので、デモの段階で一通り作っておいたハーモニーに対して、ここはちょっとこっちを強調した方がっていうことを言ってもらって、少しマイナーチェンジしたりっていうやりとりを重ねていきました。

―このアルバム『COUNT 9』はもともと、お二人がやってた活動があった上で、今回のために新たに歌詞を作ったりされたと思うんですが、アルバムを聴いていると全体的に非常に希望が持てるような、全体的にそういう気がとてもしたんですよね、このコロナ禍で意識されたことってありますか?

伊藤:曲作りに関してはだいたい曲先なんですけど、僕が曲を持っていったしばらく後にシゲさんが歌詞を書いてきて、「俺は夢とか希望とかあんまり訴えたい方じゃないんだけど、この曲はこういうポジティブな内容の方がいいと思ったからちょっと珍しく頑張って書いてきた。」とかって出来た曲が「Step By Step」とか「Count 9」だったんですよ。


夢を見るってことは、諦めちゃいけないし、諦めさせるような世界じゃいけない

だから合わせてもらったというか、あるいは曲がそういう内容を歌いたくなったっていう感じだったのかなって思いますね。

「Dreamers」に関しては新曲で、歌詞は僕が書いたんですけど、コロナのこともちろんあったんですが、こういう歌詞になった理由が二つあって、一つには夢を見ることの大切さみたいなことを書きたいなと。

なんか“夢を諦めないで”とかじゃなくて、諦めないことも必要なんですけど、“夢を見ること自体大事なんだ”ってことをすごく伝えたかったんですね。挫折したり、諦めちゃったりってこともあるし、頑張っても報われないってことの方が多かったりするけれど。

“無駄だから夢なんて見るのやめよう”っていうんじゃなくて、夢を見て挫折したりっていう姿を見ている誰かが、もしかしたらその“夢の続きへ”始めるかもしれないし、そういうことで世の中回ってるような気が最近すごくしていて。

個人が成功する失敗するじゃなくて、そういうところを超えたところでやっぱり夢を見るってことは、諦めちゃいけないし、諦めさせるような世界じゃいけない、そういうことを歌いたいっていうことが一つ。


シンガーって、いい生き方してなきゃいけない

あともう一つ、歌い手としてのモチベーションというか、これ「Dreamers」という曲を歌ってもらうとわかるんですけど、結構きついんですよ。きつい音域、きついメロディーだからこそ出るニュアンスみたいのがあって、そういうのを出したかったんですけど、そういうときって、何ていうか歌ってる人の内面みたいのがすごく出るような気が僕はしていて、だからシンガーって、いい生き方してなきゃいけないってすごく思ってるんです。

やっぱり自分の中のものを隠せないと思うんですね、一生懸命歌ってる時って。全力で声を出してるときやっぱりその声になるメッセージは、前向きなものであってほしいなっていう思いがすごくあったんです。
じゃないとやっぱり歌っててやんなっちゃうと思うんで。

―ツインボーカルで、歌だけではない、コーラスやハーモニー、二つの声が重なり合うことの声の分厚さ、広がり、表情、そういうものが非常に魅力的なアルバムだなと思って、何度も聴いてます。

伊藤:ありがとうございます。そこに関してはうちのギタリストから前にすごく言われたことがあって。「ギターだったり、ドラムだったり、楽器がどんだけテクニックを駆使しても、やっぱ人の声の魅力には敵わないんですよね。」っていうことを言われたことがあったんですよ。

だから、やっぱり歌のバンドである以上、歌を聴いて欲しい、しかも歌い手が2 人いるところを聴いて欲しい、歌が最大限活きるようにサウンドを作らなきゃいけない、歌のうまさとか、ハーモニーもそうなんだけど、それ以前に人の声自体の魅力みたいなものは、すごく意識して前面に出すようにはしてたんです。

―ハードロックを普段あまり聴いてない人でも、すっと入ってくるような気がします。

伊藤:ありがとうございます。そんなアルバムにしたかったんです。

―また是非いろいろ伺いたいです。その節はまたよろしくお願いいたします。

前半はコチラからご覧いただけます。

【LIVE 情報】
≪アルバム『COUNT 9』発売記念!!!≫
SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL presents LIVE “CIRCLE OF TRUST”
(with special guest RAZOR HIGHWAY)

■2021.10.10(sun) ■18:30 START
■WildSide Tokyo (無観客配信LIVE)
第一部 SPiRiTRiAL ベスト選曲LIVE
第二部 SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL 『COUNT 9』再現LIVE
■配信チケット 3,000yen (アーカイヴ2 週間)
【チケット購入ページ】 https://ws-tokyo.com/events/5318

SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL 『COUNT 9』アー写

【アルバム絶賛発売中!】
SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL
スペシャル・コラボ・アルバム『COUNT 9』

SHIGEKI FUJII x SPiRiTRiAL『COUNT 9』ジャケ写

↓アルバムトレイラー動画はコチラ↓
https://youtu.be/FADCxGdD_ig
定価 2970 円(税込)
販売元 Black-listed Records

[Disk Union]※購入特典 : ボーナス音源CD-R
[HMV]
[Tower Records]
[Amazon]

SPiRiTRiAL
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twitter:@SPiRiTRiAL

2014 年『Suite ZERO』2019 年『SPiRiTRiAL』
2021 年 SHIGEKI FUJII × SPiRiTRiAL 『COUNT 9』

<藤井重樹 SHIGEKI FUJII プロフィール>
東京の HM/HR シーンで常に高い評価を受けてきた実力派ヴォーカリスト。グレン・ヒューズやレイ・ギラン、人見元基、 森重樹一、山田信夫といったヴォーカリストに多大な影響を受ける。複数のバンドでの活動を経験した後、松永俊彦 (Vo/G)とのユニット:dEuce(デュース)を結成、2004 年にミニ・アルバム「RED HOT」をリリース。ライヴ活動を精力 的に展開する。その後、藤岡幹大(G)、板倉淳(Ds)、森川肇(B)らとハード・ロック・バンド:NIGHT BUZZ を結成、ラ イヴ会場限定の 3 曲入 CD シングルを制作(一般未発売)。一方で正統派ヘヴィ・メタル・バンド:NAKED MACHINE の初代ヴォーカリストとしてその結成に携わる傍ら、アコースティック・ユニット:52nd Filmore st.のメンバーとしても 活動。また数々のセッションで山本恭司、ポール・ショーティノ、MAD 大内、本間大嗣、甲斐貴之、寺沢功一、島紀史、 前田"トニー"敏仁といった錚々たるミュージシャンとステージで共演を果たす。2018 年には梶山章(G)のユニット: GOLDBRICK のアルバム「THE BOUNDARY」に全曲参加、ライヴでの見事な歌唱も注目を集めた。HM/HR を主戦 場とするヴォーカリストでありながら、その枠に囚われない幅広い歌唱スタイルには定評があり、それは本作でも存分 に発揮されている。


<伊藤威明(いとう たけあき:Vo/B/Key/Program)プロフィール>
SPiRiTRiAL の創設者にしてフロントマン兼メイン・ソングライター。FENCE OF DEFENSE とグレン・ヒューズを敬愛し、 自身の幅広い音楽的志向を盛り込んだサウンドを追求すべく、1998 年のバンド結成以来不断の前進を続けている。 ヴォーカリストとしてバンド以外でも音源制作の仕事に携わる傍ら、近年は 2020 年に英国 Escape Music から発売さ れたプログレッシヴ・ロック・プロジェクト:PINNACLE POINTの2ndアルバム「SYMPHONY OF MIND」のレコーディ ングに参加し、全曲でベースを担当、PV にも出演する。またジェフ・スコット・ソート、マイク・スラマー、トミー・デナンダー、 ジェフ・ピルソン、ディーン・カストロノヴォ、ビリー・シーンなど豪華ミュージシャンが集結し、同レーベルより 2021 年に 発売予定のプロジェクト・アルバム「TURKISH DELIGHT」にもベーシストとして参加するなど、活躍の場を海外まで広 げている。

インタビュアー:奏子(Kanako)
Singer/Voice Trainer/ミュージックソムリエ

twitter:@vkanako

8 月末、zoom にてインタビュー実


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