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皆さんは何かに本気で取り組み、挫折した経験はありますでしょうか?
私は幼少期からピアノを学び、中学生の頃に出会ったクラリネットに心を奪われ、プロのクラリネット奏者を目指して音楽大学へ進みました。
(ピアノは本当に苦手でお遊びでしたが…)

大学の4年間は周りと切磋琢磨しながら、日々、練習に励みました。
授業内容は実技授業がメインで合唱や室内楽、吹奏楽、オーケストラの授業(90分×3コマ連続)それに加えて個人レッスン(60分)も授業外の時間で毎週あり、こなさなければなりません。もちろんここに座学やコンクール、学外活動なども入ってきますし、実技に関しては毎週進歩を求められるわけです。
なので毎日大学で夕食を済ますことも多く、大学生らしくサークルやアルバイト、旅行などに時間を費やすことはあまりできない環境でした。中にはアルバイトをしながら日々の練習に励む超絶多忙な学生もいました。

もちろん練習は誰かに強制されているわけではないので、する・しないの選択は自由です。手を抜こうと思ったり休もうと思えばいくらでもできます。

しかしオーケストラ授業や実技関係のものは、授業であっても学生全員が演奏できるわけではなく、選ばれたメンバーのみが学内の掲示板で貼りだされ、ステージに上がり指導を受けることが出来るのです。その辺のことは周知の事実ですし誰もが上を目指している世界なので、のんびりと休んでいる時間は凄く不安になってしまい、常に努力せざるを得ない環境だったと、今振り返ると思います。
音楽に限ったことではないと思いますが、一流を目指すということは、終わりがないこととイコールだと私は思います。『どこまでしたら報われるのか』と精神的に参ってしまう人も多いのが現実ではないでしょうか。

大学3年次に音楽の都として知られるオーストリアのウィーンへクラリネットのレッスンを受けに短期間で行っていたのですが、そこで音楽の世界の厳しさ、自身の可能性について真剣に考えさせられる大きなきっかけとなりました。音楽の本場の街で毎日のようにオペラ座やコンサートホールへ行き、世界一といわれる音楽に触れ感動するのと同時に、『自分には到底たどり着けない場所だ』と身体全体で感じてしまったのです。

自分自身の求めるもの『理想』と実際に自分が出来ること『現実のギャップに苦しみ、音楽を生業としていく覚悟も持てず、精神的に苦しくなり楽器にもあまり触れたくないと思ってしまうことも何度もありました。

そして一般の会社に就職するという選択を私はとりました。
ただただ、音楽で苦しみたくなかった
それだけの想いでした。
なので就職先も音楽とは全く関係のない業種を選びました。
就職活動中もその後も出会う人全てから、『音大卒なのになぜ?』という質問を投げかけられました。中には、『せっかく音大まで行ったのにね』と皮肉に感じてしまうようなことも言われてきました。その質問をすることに誰も悪気はないのは良くわかるのですが、毎回少し切ない気持ちになるんです。

悲しいや怒りの感情ではなく、切ないんです。
私自身も、必死に努力して叶えられることであれば、叶えたかったですし、『だから音大卒なんだね、凄いね!』と称賛されたかったです。
世の中にはどれだけ必死にやっても叶わないことって、ありますよね。
努力は必ず報われると思いますが(何かしらの形で)
夢を叶えることには限界があると思うのです。

ですが、社会へ出てからも自分自身を恥じたことは一度もありません。
音楽を本気で学ぶことでしか、得ることのできない感性や教養は本当にたくさんありますし、私の人間性も音楽によってつくられました。
そして何より、挫折を味わったことでより一層音楽に対しての愛は深まりましたし、演奏家や音楽家への敬意も強くなりました。そして、今自分が出来ていることへの感謝も常に忘れません。私という人間は音楽によって鍛えられ今が在るので、すべて繋がっているのだと感じています。

一度でも失敗や挫折を経験している人はやっぱり強いなと感じますし、人としての魅力も沢山感じます。
この先70・80代になって自身の人生を振り返った時、失敗も成功もあったほうがきっと楽しいと思いませんか?
何にもない人生だったな』よりも、『色々あったけどまあ楽しい人生だった』と思えるような人生をこれからも送っていきたいです。

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👆ウィーン国立歌劇場👆


多くの本にも書いてあるような、ありふれた言葉かもしれませんが
『挫折や失敗は大きな財産』だと私は思います。そして、そんな時に支えてくれる友人や家族の存在も何にも代えられない人生の財産ですよね。
 
『m+』鎭波真琴


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