【ドラゴンのエッセイ】恋愛リアリティーショーが嫌い

 古くは「あいのり」、最近だと「テラスハウス」や「バチェラー」といった企画が人気を博した。こういった番組の共通点は「恋愛をドキュメンタリー風に見せる」ということである。だが俺は、こういった企画をどうも好きになれない。というのも、あるトラウマがあるからだ。今回はそのトラウマについて書く。ぜひ読者の皆さんにご意見を伺いたい。

 フジテレビの深夜番組に「大人のKISS英語」というのがあった。山Pこと山下智久くんがMCで、英語への理解を深めようというコンセプトの番組だ。俺はこの番組がきっかけで、恋愛リアリティーショーが大嫌いになった。
 しかし断っておくが、山下くんや他の出演者の皆さんに非はないし、山下くんをはじめとするタレントの人たちが原因というわけでは決してない。それを理解した上で、ここから先を読んでほしい。

 その番組の企画に「The PROM」というものがあった。男性1人に対し、女性が10人いる。ポイントごと(1日ごとだったかな?)に女性が1人ずつ脱落していき、最後に残った1人は晴れて男性と結ばれる、というものだ。もちろん男性は超イケメン、そしてセレブである。さらに最後に残った1人には賞金も出る(具体的な数字は覚えていないが、結構な金額だったはず)。
 ……と、ここまでだったら普通の恋リアだろう。一番近いのは「バチェラー」かな? ただしこの企画には、男性にも女性たちにも普通とは違う条件がある。
 まずは男性側。彼はデヴァという名前の外国人で、英語は話せるが日本語はからっきし。つまり女性陣は、英語で彼とコミュニケーションをとらざるを得ない。ちなみに女性陣は全員、日本人である。語学力にも差があり、英語ペラペラの人もいれば中学生レベルですら怪しい人もいた。一見不公平なようにも思えるルールである。だがこの縛りは、番組のコンセプトからしても納得できる。問題は、女性陣全員が抱えている秘密だ。俺はそれを問題視している。

 その秘密とは、「女性陣全員に彼氏がいる」ということ。しかも、デヴァはそれを知らされないままに女性を選んでいく。最後の2人になって、いよいよ自分が本気で交際したいと思える女性を選ぶタイミングで、初めて彼に真実が告げられる。そして選ばれた女性は、彼氏かデヴァかという究極の選択を迫られる。

これはいかがなものかと当時中学生の俺でさえ思った。俺は男なのでどうしても男性側に感情移入してしまうのだが、デヴァにしても女性たちの彼氏にしても、ここまで不快な企画はないだろう。さらに言えば、女性陣としても心中穏やかではないはずだ。
 しかも彼氏たちは、自分の彼女がこの企画に参加することを了承している。「番組の企画なんかで本気の恋愛するわけないじゃん?」という感じで説得されている男性もいたし、「勝ったら賞金出るんだからさ」と説得されていた人もいた(その様子も企画内で放送)。
 どうやって説得されようとも、彼氏としては到底受け入れられるものではないと思う。「本気の恋愛はあり得ない」と言われても相手はイケメン。信用していても不安は募るだろう。逆に「賞金目当て」と宣言されたところで、だからといって快く恋人をイケメンのところに行かせられるはずもない。
 それに、自分の彼女が振られて帰ってきたとしたらどうだろうか? 喜んでいいのか、それとも慰めるべきか? そもそも、恋人関係を続けていけるのか?
 このように、どんな結末になったとしても彼氏には不安と不信感しか残らない。

 皆さんに問いたい。この企画のどこが面白いだろうか? 本来エンターテイメントとは、誰かを楽しませるためにあるはずだ。そしてその楽しさとは、誰かが傷ついた上に成り立ってはいけない。そう思うのは俺だけか?
 この企画は最終的に、デヴァが1人の女性を選んで終わった。しかし彼は、選んだ女性と共に歩もうとしたわけではない。事情を知った彼は最初、誰も選びたくないと言った。企画を成立させるために、1人の女性を選んだだけだ。スタッフに、どうしてもどちらか選んでくださいと頼まれたから。色んな意味で辛い決断だったと思う。
 これでは誰も幸せになれないんじゃないかと思うのは俺だけか? と、重ねて問いたくなってしまう。

 これは出演者の皆さんの名誉のために言っておくが、山下くんはじめこの企画を見ていた人全員が「両方ともかわいそう」とか「デヴァの気持ちはどうなるの?」とか言っていた。どうやら俺の抱いた印象は間違っていなかったようだ。

 こんなことがあって、俺はそれ以来恋愛リアリティショーを見ていない。もちろんすべての番組がこうだとは思っていないし(むしろこんな企画は極めて稀だろう)、前述の企画の出演者にしても、誰も悪くないと思っている。ただ、企画が俺の肌に合わなかっただけ。それでも、読者の皆さんに俺の考えを知ってほしかった。なので、たくさんご意見を頂けたら幸いです。もちろん、反対意見も待っている。遠慮なく送ってくださいね。それではまた次回お会いしましょう。

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