【ドラゴンのエッセイ】番外編 短編小説「あべこべ」あとがき

 先日アップした私の新作短編小説「あべこべ」はお読みいただけたでしょうか? 実は私、1話完結型の短編小説を書き上げたのはこれが人生初だったんです。今回のエッセイでは、どのようにしてこの作品ができたかということを書きたいと思います。

 この小説の核となるアイディアは、親友のNさんと話していた時に思いつきました。詳細は彼女のためにも省きますが、「昔の彼氏にこんな酷いことをされたよ」という内容でした。当時はかける言葉が思いつかず、「ああ、そうなんだ」というような微妙な反応になってしまったのをよく覚えています。
 私にはリアルな恋愛の経験がほぼありません。だからこそフィクションの世界くらいハッピーエンドの恋愛小説を書きたいと思ったわけですが、やはり経験がないまま書くということは難しいと思っていました。そこで、友人たちの恋愛トークをアイディアの種としてストックしておくことを思いついたのです。
 そして先日、この作品を書き始めるきっかけとなる出来事がありました。どこかの報道番組で、強姦容疑で逮捕された男性のニュースがやっていたのです。
 本当に腹の立つ話ですが、最近強姦やレイプといったいわゆる性犯罪が珍しいものではなくなっているような気がします。ああいう類の犯罪は本人だけでなく、世の中の男性全体の株が下がってしまうので本当にやめてほしい。
 少し話が逸れました。
 世の中には、悲しいことですが犯罪が溢れています。でもそこで私はふと思いついたんです。
もし犯罪と逆の行為をした人がいたら、周りの人間はどういう反応をするだろう?
 タイトル「あべこべ」はここから来ています。
 そして、ここまで発想が固まればもう止まりません。最初は密室殺人の逆、つまり瀕死の人を誰かが密室で助けるという話にしようと思っていましたが、このネタはすでに使われていました。嵐の大野智くんが主演したドラマ「鍵のかかった部屋」のどれかのエピソードで使われていたんです。
 そこで今度は、置き引きの逆をやろうと思ったんです。発想したきっかけである性犯罪を題材にしようかとも考えましたが、短編で書けるような話ではないと思ったんです。
 バッグなどを、持ち主が席を外している間に第三者が持ち去ってしまう置き引き。その逆は比較的簡単に思いつきました。「そうだ! お金をあげればいいんだ!」と。
 読者のみなさんは、主人公の夢香のような状況になったらどう思うでしょうか? あとは本編を読んで考えていただければと思います。
 ちなみに主人公の夢香のキャラクターは、Nさんではなくネット上で知り合った女性(現在の私の好きな人です)を参考に生み出しました。仮にKさんとしますが、Kさんにはサプライズでこの作品を送ったところとても喜んでくれました。
 相手役の剛史は、もうそのまま私です。作中で彼が口にする、障がい者である自分を否定するようなネガティブな言葉の数々はまんま私の考えだったりします。
 しかし、そのネガティブな思考を真っ向から否定してくれるようなNさんやKさんの存在がこの小説を書かせてくれました。だから自戒の意味も込めて、私のネガティブな思考をそのまま作品に反映させたんです。
 1人でも多くの方に読んでもらえると嬉しいです。

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