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休憩時間の過ごし方@コンサートホール

2019年12月にベルリンを訪れたとき、「絶対行かなきゃ」とベルリン・フィルを聴きに行った。
彼らの演奏を生で聴くことはもちろん、私が住む「大阪」ではなく、西洋音楽を育んだ「ヨーロッパ」の「ドイツ」で、その首都の「ベルリン」で、コンサートの空気や匂い、そこにいる人々のリアクションに、直に触れてみたかった。
日本との違いを感じてみたかった。期待してみた結果、やっぱり驚きがあった。
忘れたくないひと時、ここに記しておきたい。

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(開演5分前の会場)

コンサートの休憩時間の過ごし方

コンサートのとき、一般的な演奏時間以外の過ごし方ってどんなものなのだろう。
私は普段、演奏会に来たとき、休憩時は基本的にお手洗いやスマホの連絡確認をして過ごす。たまにお財布に余力があればカフェに行く、というくらい。

ベルリン・フィルを聴きにきたときも、同じように過ごそうと思っていた。
ひとしきり演奏への拍手があり、それが終わり、客席の電気がつく。さて、お手洗いでもゆっくり行くか。
しかし、休憩時間と分かった瞬間、ホールにいる客がドッと一斉に立ち上がった。そのまま普通にホールを出る。
あまりに急なので、取り残された私は「え、ロビーで何かあるの?」と思わず疑問を抱いてしまった。

何となくそわそわしながらロビーに出ると、その理由が分かった。

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とにかく、人、人、人。
そのざわつきぶり、みんな、喋りたくてたまらないんだな。だからあんなにもいそいそと…。
「さっきのドヴォルザーク、どうだった!?」「とってもスマートで僕は好きだな」なんて話しているのか。

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ドイツ語だし正直何話しているのか全く分からんけど、とにかくみんな喋ってる。
日本のホールロビーには多くて2箇所しかないバーカウンターは、ここではざっと3、4箇所くらいあるのだろうか。日本よりも、飲む人が多いのかもしれない。行列に並ぶときも、ワインを購入した後のテーブルでも、人々はとにかく社交を楽しむ。

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ほんの小さな出来事だったけど、私にとってはどこかカルチャーショックだった。「演奏開始までは、お手洗いを済ませて、席で待つ」のが私にとって普通の過ごし方だったから。でも、それって少しもったいないのかも、と感じた。

コンサートホールは、本来は「演奏を披露する場所」「演奏を聴く場所」。
だけどここに集う人々は、もしかするとそれだけが目的じゃないのかもしれない。
「音楽」というのはただのツールに過ぎなくて、結局は人と触れ合いたくて、お話がしたくて。「せっかくみんな集まってるし、音楽について喋りましょうよ」と言わんばかりの人々のコミュニティが羨ましくて、私が夢見る「活きた劇場」ってこれだな、とふと思ったシーンだった。


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