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(音楽話)51: 空気公団 “悲しみ知らん顔” (2009)

【好き】

空気公団 “悲しみ知らん顔” (2009)

空気公団は、1997年に山崎ゆかり(Vo)が中心となって結成されたバンド。メンバー脱退等を受けて現在は山崎のソロ・プロジェクトになっていて、今年(2021)春にはアルバムをリリース予定だそうです。
そこまで熱心ではありませんが、私は1stアルバム「くうきこうだん」(1999)の頃からファンです。山崎の声がとても心地良く、側に寄り添ってくれる感覚があって、私にはホッとする波長です。サウンドも素朴、静か、穏やか、アコースティックなものが多く、デビュー当時の90年代末、比較的派手で煩い音楽トレンドの中にあって異彩を放っていました。

悲しみ知らん顔”は、アニメ「青い花」(2009)の挿入歌。鎌倉近辺の高校が舞台で、女性同士の恋愛・友情を描いたもの。「好き」の意味を人それぞれが探り、悩み、ぶつかりながら、それぞれの「幸せ」の形を見つけていくーーー原作漫画「青い花」(志村貴子・作)は名作と言われています。
「青い花」とは、勿忘草のこと。学名Mysotis、英語名Forget-me-not。花言葉は「私を忘れないで」「真実の友情」。4−6月に(白やピンクもありますが)青の花を咲かす。この漫画の象徴です。

あなたにとって、「好き」の定義は何ですか?

それは友情ですか?恋愛?親愛?敬愛?嗜好?ーーー幼馴染の女子高生同士が、それぞれがお互いに抱いている「好き」という同音の言葉に抱く気持ちのズレやすれ違いが、場面場面で心苦しく、もどかしく、そして、共感できる温度感で描かれる。同性同士の恋愛という点を斜めに見る方がいるかもしれませんが、実に取るに足らないことです。そんなの、どうでもいい。

このご時世、人に会うこともままならず、デジタルで仮想的に「映る」相手を眺めることの方が多い。それはそれで便利ですし、それが時代の流れ。ですが、物理的に会うことの意味・意義を、改めて強く感じることって、最近ありませんか?往々にして、人間の感情の発露なんて、面倒なもの。だから便利な道具で片付けられるほど、人間て単純なものではない。画面越しに「好き」と言っただけでは伝わりきらない想いって、あると思うのですが…。

…ガラにもなく感傷的なことを書いてしまいました笑
偏見など越えて、この歌が届きますように。

*********

振り返る夕方
繰り返しの君
引き返しの波が
僕らをそっと包んで
遠ざかる

手紙を読むそばで
寝たふりをしているんだ
空の憂い顔が
僕らにちょうど
似合っている

正しい言葉 正しい意味
本当はないんだな
素敵さ
あるようでないものを
追いかけて生きている

楽しい夜も
寂しい朝も
ひとつになって残るのさ

正しい気持ち 正しい生き方
本当はないんだな
素敵さ
あるようでないものを
追いかけて生きている

あるようでないものを
抱きしめて生きている

(空気公団 “悲しみ知らん顔”)

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