Pictures At An Exhibition

僕と同じ世代であれば,NHK教育の夕方に放送されていた『ゆうがたクインテット』のお便りで届いた絵の紹介コーナーで使われているのを知っている方もいるだろう.また,テレビ朝日の『ナニコレ珍百景』という番組でも珍しい景色を紹介する場面で使われているのを聞いたことがある方もいるだろう.前者はこの曲中の”プロムナード”,後者は”キエフの大門”が使われている.

この『展覧会の絵』はオリジナル版よりも他に多く存在する編曲されたものの方が有名である.これだけ多くの編曲が存在するのも面白いので紹介する.

構成

まずは,『展覧会の絵』の構成から記す.以下のように10曲の絵を表す曲とその間に挟まれているプロムナードからなっている.プロムナードの変拍子はまるでゆっくりと眺めたり,次の絵まで足を速めたりするように拍子が変化する.

第1プロムナード
1 小人(グノーム)
第2プロムナード 
2 古城 
第3プロムナード 
3 テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか 
4 ビドロ(牛車) 
第4プロムナード 
5 卵の殻をつけた雛の踊り 
6 サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ 
第5プロムナード
7 リモージュの市場 
8 カタコンベ - ローマ時代の墓 
死せる言葉による死者への呼びかけ 
9 鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤガー 
10 キエフの大門

ラヴェル編

もっとも有名な編曲版であろう.”プロムナード”のトランペットソロや,終曲”キエフの大門”の重厚な和音は印象的である.全体的にキラキラと鮮やかなラヴェル流にアレンジされている.さすがオーケストラの魔術師である.オリジナルがピアノだなんて全く感じさせない,むしろラヴェルの曲なんじゃないかと思わせられる.

ストコフスキー編

一方こちらは,さほど有名ではないがラヴェル同様管弦楽編曲版.彼は主に指揮者として活躍した.なんとこちらは”音の”魔術師と呼ばれているそうな(ややこしい).彼の編曲版には始まりから驚かされる.ぜひ聞いてほしい.聞くまでの楽しみにとっておいてほしいので,ここにはその内容は書かない.終曲の”キエフの大門”にはオルガンや,チューブラーベルまで追加されてラヴェル版に比べるとかなり豪華にされている.ラヴェルのものよりも”ロシア感”が出ているらしいが詳しいことはわからない.とにかく初めの”プロムナード”と”キエフの大門”を聞いてくれれば満足だ.

E.L.P.編

がらりと雰囲気を変えて,こちらはプログレッシブ・ロックの編曲.彼らはこの曲のほかにもいくらかクラシックのロック編曲を行っているらしい.下に紹介しているアルバムの最後に『くるみ割り人形』の行進曲の編曲があるのでそれもよければ聞いてほしい.
完全にロックのものにされてしまっている.彼らによってオリジナルの歌詞がつけられたものもある.

メコン・デルタ編

E.L.P.編のものを参考に編曲されたもの.E.L.P.のものに比べるともう少しだけよく聞くようなロックっぽい.オーケストラとコラボしたものもあるので一緒に聞いてほしい.

上に紹介したもの以外にもたくさんの編曲版があるので聞き比べが終わらない….ぜひともオリジナルのピアノ版も聞いてほしい.またお気に入りの編曲が見つかったら教えてほしい.

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