The Beatles Free as a Bird 2015ver / ビートルズ フリー・アズ・ア・バード

ビートルズの1970年の解散から25年後の1995年の新曲の「 フリー・アズ・ア・バード」をリリース。さらにそこから20年経過した2015年に新ミックスがリリース。

『ザ・ビートルズ1+』に、共同プロデューサーのジェフ・リンとスティーヴ・ジャイによるリミックス・バージョンが収録されている。
※YOUTUBEでも視聴可能

The Beatles Free as a Bird 2015 version


カセットテープからのジョン・レノンのボーカルの処理がより鮮明化した

そして「~as a Bird」の3人が続くコーラスも各人の声がさらに分離している。同様に続いていく3人のコーラスの寄り添う空間がぐっと近づいた。

ポールの「Whatever Happened To~」ソロで歌う部分もジョンと平行線にブリッジ、橋渡ししていくような施しになっている様に聴こえて、ジョンの歌のバトンを自然にさりげなく受け取ったような時空を超えた連携プレーみたいなものを感じた。

ジョージ・ハリスンのボーカルが別テイク
次にソロを歌うジョージ・ハリスンの「Whatever Happened to~」に続く「life」が「love」に代わったバージョンになっている。
たった一つのワードで曲の世界観や聴く人の想像に広がりと深みが増した。
それに続いて歌い切った直後に切り込むジョージのハイポジションに突っ込むスライド・ギターが、本人が歌ってそのままスライド・ギターの演奏に切り替わったようなライブ感がある。

2015年バージョンは全体の楽器の分離が明確になった

アコースティック・ギターが左右に鳴ってるが、同等の音量・音質バランスに整理されてる。ただ、2本のギターのタイム感がちょっとずれていて、これが明確に聴こえる事によって目の前で弾いてる手作りの感触が一層増した。

と、ということは、ポールとジョージがそれぞれ左右のチャンネルに分かれてアコースティック・ギターを弾いたのでは無いのかと妄想が。。
ポールだからタカミネのアコギ?何ならジョージは秘蔵のゼマティスのアコギ?
アコースティック・ギターの美しい音色が曲の最後までより鳴動してる。

※追記 「Now and Then」のプロモーション・ビデオでポールがマーティンでジョージがギブソンのアコースティック・ギターを弾いてる映像がありました。

バッキングのエレキ・ギターのアルペジオもくっきりとしかも邪魔にもならず聴こえる。
自然なコーラスがかかったような音なので、「ひょっとしてジョンレノン役のリッケンバッカーを代理で弾いた?」
※リッケンバッカーでないかもしれないので個人的妄想

ビートルズ解散後のソロで開花させたジョージ・ハリスンのスライド・ギターがこの曲で完成形をみた

この曲で最重要パートになっているのが、ジョージ・ハリスンのスライド・ギターだ。
ビートルズ時代には実現できなかったが、解散後メロディ・ラインを明確にしたフレーズを創作できるようになり、今回はそのスキルを自信を持って表現することが出来た。
このハイライトにもなるスライド・ギターの名演によって、ビートルズ時代のギタリストの伏線を見事回収したと思って何回も聴いている。

メロディライン、ピッチとタイム感が素晴らしいスライド・ギターは、オンリーワンのサウンドをさらに確立している

スライド・ギターの「間」と最小限の音数によるビブラートにジョージの人間性が一層現れている。そのメロディやビブラートには「人生」や「悲壮」やその上に達観された言葉にできない「彼特有の何か」があって、この曲を何回も聴くたびにジョージのスライド・ギターの神秘性を反芻している。

リンゴ・スターのドラムはビートルズの象徴

ジョン、ポール、ジョージの歌にリンゴのドラムが乗っかれば時空を超えてビートルズになり、叩くだけで不思議な魔法がかかる。
また左利きで、ドラムの各配置も違うため独特の聴こえ方、鳴動がある。


オノ・ヨーコが1994年にポール・マッカートニー渡した4曲のデモテープからの「ナウ・アンド・ゼン」も2023年11月2日にリリースされる。

『自分のパートを早々と済ませたジョンが、「あとはやっといてくれ」、と休暇に出かけてしまった、という風に考えるようにしていた。』
(ポール・マッカートニー談)

休暇から帰ってくるジョンも(我々も)びっくりして自然と涙が頬に伝わる2015年バージョンは、不死鳥のように羽ばたいている。


終わり


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