僕は今日もペンを取る

夕暮れ、金木犀
一人音奏でている
君の作った音をただ
鍵盤になぞっている

「君は誰のために弾いたの」
その答えはまだ出ないままで

いつものコードを鳴らして
右手で音を作っていく
時々響く不協和音が
耳に残ってくすぐったくて

思ってたより難しかった
伝えたいこと曲にできなくて
言葉にするの難しかった
考えてやっと一小節

僕は彼女のように作れない
君はペンをとめることはなかった
4小節目が浮かばない
でも最近少しわかってきたんだ

特別を歌う必要なくて
浮かばなければ書かなきゃいい
静寂だって音楽なんだ
自分が好きな音並べればいい

そうして僕は家に帰える
黒いポストの蓋を開けた
一通手紙届いていた
よく見た歌詞と同じ書体だ

「晴れた青空に君思え!」
君の歌声思い出した
手紙の君は微笑んでいた
固まった心綻んだ

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