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何もしない

ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークという二大スターによるダイナミック・デュオ、シルクソニックのアルバムが先週の金曜日にリリースされた。このアルバムがとにかく良い。移動中に聴いていたら、あまりの良さに鳥肌が立ち、気持ちも高まり、道行く人々への愛おしさが腹の底から湧いてきて、この一瞬一瞬を祝福しながら、皆に笑顔を振りまきたい気持ちが生じた。電車が来るのをホームで待つ間、このアルバムの内容からして踊らずにはいられないのだが、そこはやはり羞恥心があるためにこそこそと首の付根でリズムを取るに留めておいた。ところで、前にファミリーマートで会計しているときにバックストリート・ボーイズの「I Want It That Way」が店内放送で流れたことがあった。私がアメリカ人だったのなら絶対に店員さんとハモっていただろう。しかし私はアメリカ人ではないのだ。

翌日、今にもはち切れんばかりのアルバムへの思いから、居ても立っても居られなくなり、美容院で髪を切った後に新宿のタワレコへと駆けつけた。タワレコに来るのも随分と久しぶりのことである。レコードを扱うフロアには数回足を運んだが、CDのフロアはこのところめっきりであった。そもそもコロナもあってこの2年近く日用品以外のものを求めてお店に行く機会もほとんどない。久々に目にしたということもあって、音楽ソフトが空間する占拠する様は壮観としか言いようがなかった。こういう贅沢がこの世界にはまだ存在しているのかと改めて思った。

少し前までTSUTAYAやタワレコの商品ポップが疎ましく思えて仕方がなかった。というのも、その過剰さに疲れてしまうからである。自分のリテラシーを過信する節があり、それらは不要のものとしか思えなかった。それに加えて、商品をそっけない態度で売るのがクールであるという価値観も持っていた。その態度は在りし日の裏原系のショップのような態度に他ならない。

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