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嶋さんの打席の、ヤクルトと楽天のベンチを見ながら【6/14 練習試合 楽天戦●】

楽天ベンチからもヤクルトベンチからも声が上がり、嶋さんはやけに照れくさそうに打席に立った。

本来行なわれることはないはずの、「10回表」の攻撃。点差は2-9と開いていた。終わってみれば、練習試合はなんと、2勝7敗2分け。2勝…。どおりでよく負けるな…と思ったわけだ。本当によく負けていたらしい。

負け試合が増えるにつれ、だんだん、ベンチも元気がなくなってきたように見えていた。あるいはそれは、こちらの気持ちを単に投影しているだけかもしれないけれど。「野球は負けるスポーツだ」と常々思うけれどもまあ、11試合中、勝った試合が2試合だけ、となるとそりゃあ、「うむ。」とはなってくる。静かにビールを飲む。いったい何を楽しみに開幕を待てばいいんだという気持ちにだって少しはなる。

でもそんな中、中継ぎ陣は、集中力を欠かすことなく、さくさくさく、と抑えていった。清水くん以降、誰もヒットを許さなかった。(すごい。これはすごい。)

そして特別ルールの「10回表」に、最後のバッターとして嶋さんは打席に立った。

ボールをカットするたびに、楽天ベンチから「野次」の声が上がる。インコースをえぐるボールに、今度はヤクルトベンチから「野次」が聞こえる。でもみんな、にこにこしている。嶋さんもその空気を感じて、思わず笑う。みんながとてもとても、楽しそうにしていて、ああそうだよな、そういうのを見ていたいんだよな私は、と思う。

もちろん「プロ」だから、仕事は「野球をして勝つこと」だ。それ以外にない。仕事をする上でこんなシンプルでわかりやすいKPIはない。ただ、その上でなお、それを目指すからこそ、ファンから見ていてもっといろんな感情が沸いてくる。2-9でぼろ負けしている練習試合で、打席に立つ嶋さんを見つめるベンチの楽しそうな雰囲気に、つい嬉しくなってしまう。

今年もまたきっと、たくさん負けるのだろう。「なんっっっっっっじゃいそれ!」と、ため息をつく日がたくさんあるんだろう。本当にやる気があるのかねこの人たちは、みたいなことをつい思う日も来るのだろう。それはもちろん、「応援するチームに勝っていてほしい」と、当然思うからだ。

でも一方で、私の好きなこの人たちが、あらゆるバックグラウンドを抱えて、いろんな思いを抱えて、そこに立つ人たちが、楽しんで野球をしていてほしい、と、やっぱり今日だって思っている。究極的には、私が望むのはたぶんそれなのだ。

負ける日だって、ぐっちの素晴らしい守備が見られたり、元気に2安打を放つところを見ているのはうれしい。どんな時だって、どんな試合でだって、しっかりマウンドで踏ん張る中継ぎ陣は頼もしい。そしてとにかく、好きな人たちが野球を楽しんでいる姿を見るのは、なんだかとてもうれしい。

さて、次の試合はとうとう、開幕戦だ。今年も大きな怪我なく(もう怪我なく!)、みんなが元気に楽しく野球をしてくれますように。改めて、今年もよろしくお願いします!


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