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【ランニング日記】首里の坂道と、宮古島をヒルトンまで走る 【※2013年※2/10(金)〜2/17(金)】

2/10(金)

受験からまだ一週間だなんて、信じられない。もう、1ヶ月くらいが過ぎた気がする。それくらい、長い長い一週間だった。

この一週間は、私が先週の疲れで半分ダウンしていたみたいな状態だった。いや、それでも重い腰をあげてなんとか5キロだけは走り、毎日ジムへは行った。でもそれが精一杯で、そのあとはもう、家で抜け殻のようになってダウンし眠り続けていた。村上春樹の、いつまでも寝続ける女性の話があったけれど、あれはこんな感じだったのかもしれないと思う。自分の底にある疲れが、どうしてもずっと抜けなかった。

そんなわけで、一週間なかなかパソコンにむかえず、ラン日記もそういえば今週は書いていなかった。走ったんだけれども、ほんとうにそれでめいっぱいだったのだ。

そして今日はとうとう走る気力すら残っていない。いや、それは昨日久々に、会いたかった先輩たちに会って飲んだからだ。コロナで全然会えなかったから、下手すれば3年ぶりくらいに会ったかもしれない。泣いちゃうね。受験おつかれさまと言いながら、おいしいお酒を飲みました。誰かと飲めるってしあわせだ。

2/13(月)

沖縄へ来ています。息子が春から通う中学の登校日が終わった瞬間、飛んできた。昨日はヤクルトたちのキャンプを見届け、ああようやく、野球がゆっくり見られるのだ…という感慨にふけっていた。終わったのだほんとうに、受験が。(まあ、むすめの塾が始まったわけですが・・・)

で、相変わらず東京を離れると体が鈍るので、私も少しくらいは走ることにする。

去年の2月頭に来たときはえらく寒かったのだけれど、今日はなかなかあたたかい。半袖でじゅうぶんだ。これくらいの気温がいちばん走りやすい。

が、なんせ泊まっている首里はとにかく急な坂と階段が多い。もうなんのトレーニングかわからない坂が待ち受けている。箱根と首里で走るのはほんとうに、ランニングではないなにかのスポーツだと思った方が良い。

でもここのところジムも行けていないので、脚のトレーニングだと言い聞かせながら坂道を前に進む。いつもは首里城を目指して走るのだけれども、今日は子どもたちと歩いて首里城へ行く予定なので、別の場所を目指すことにする。

走っていると「金城ダム」と書かれた看板が現れたので、そこを目指す。ペースはもう亀のように遅い。でも旅先のランニングはこれで良い。ゆっくり走ったり、止まって写真を撮ったりするのは、旅ランのごほうびみたいなものだから。

朝一番の「金城ダム」には誰も人がいなくて、太陽の光が指したダムはなんだか静謐で、心が静かになっていくのを感じる。水のある場所というのが私は昔から好きなのだ。

ダムにかかる橋を渡り、しばし景色を楽しんでから、また別の道を通ってホテルを目指す。首里は高台にあるので、どこからもきれいな景色が見える。保育園へ向かう前のお母さんと子どもが、公園で那覇の市内を見下ろしながら話している。お母さんはほんとうは急いで保育園へ向かいたいのだろうけれど、子どもと一緒だと、なかなかそうもいかない。でも「なかなかそうもいかない」時間が、あとから振り返るととてもとても愛しい時間になる。そのときはもう、そんなこと思いもしないのだけれど。

さて、私も私で、息子が中学へ入ったら、受験生のとき以上に忙しくなって、こんな風にゆっくり一緒に旅もしてくれなくなるかもしれない。今のうちにこのゆる旅を、楽しんでいよう。

2/15(水)

昨日から、宮古島に移動してきている。ここで一週間ほど、ゆっくりしながら仕事をする予定。

今日は朝からオンライン会議があるので(なんせ宮古島からだって出席できるのだから良い時代である。)、もう少し早起きして走ろうと思っていたのだけれど、起きたらもう7時を過ぎていた。なんせ、宮古島の朝は遅い。7時くらいまで、まだ外は暗いのだ。なかなか起きて走ろうという気にもならない。

それでも体はどんどん重くなっているのを感じるし、なんとか体を起こして外に出る。

宮古島に来ると、いつものホテル、いつもの道、が待っているので、ランニングも気楽である。一応iPhoneは持って出るけれども、東京で走るのと同じような感覚で走ることができる。

2日前がうそのように、今日はさむい。タクシーの運転手さんが、この冬は宮古島でも9℃の日があったと教えてくれた。そんな。寒すぎる。今日は15℃ほどはあるだろうけれども、それにしたって風が強くて肌寒い。まあ、走る分にはちょうどいいのだけれど。(夏は夏で暑い暑いと騒ぐのだから。)

いつものように、伊良部大橋を目指して走る。この時期は雨季なので、空はいつもどんより暗いけれども、それでも海はうそみたいに、明るい青を見せる。これはたしかに、12月に行った奄美とはまた違う島だ、と思う。宮古島も決して「底抜けに明るい」というわけではないのだけれど、どんなときも明るい青を抱く海に囲まれている感じがある。どちらが良いというわけではなく、島には島それぞれの色があるのだ、と思う。南の島にもそれぞれの色と景色がある。

それにしても夏とはちがって人も少なくて、いったい何をしにきたのかよくわからないくらいにはどこも閑散としている。でもこの冬の島も私はすごく好きだ。なんせ、仕事がはかどる。まあ、家事から開放されて仕事しにきたみたいな側面もあるのだ。宮古島というのは私にとって、そういう土地になりつつあるのだと思う。

いつものように走り、いつものようにジムへ行く。いつものように会議をして、いつものように原稿にとりかかる。でも、その時間はいつも、青い海に囲まれている。その時間が私にとってどうしても必要なのだと、ここに来るたびにそう思う。

今日は5キロだけ走る。明日はもう少し距離を伸ばそうかな、(どうしようかな・・・)

2/16(木)

昨日はランニングのあと、行きたかったジムが閉まっていて別のジムへいったので、今日は走ったあとに新しい方のジムへ行きたい。ので、早起きして走ろうかと思ったけれどもやっぱり寝坊した。というか8時間くらい寝た。この旅でようやく、受験の一週間の疲れが取れた気がする。とにかく寝たからだと思う。家事から開放されるだけでほんとうに休めるのだ。ありがたい。

昨日は伊良部大橋まで走ったので、今日は新しく建設中のヒルトンの方まで走る。前はまだ整備されていなくてねこの親子がいた道が、すっかりきれいに整備されていた。あのねこたちはどこへ行ったのだろう。開発されていく中で、ほかの命のことをふと思う。

ヒルトンの方まででも、だいたい5キロくらいの良い距離を稼げることがわかる。いや、ほんとうはもう少し走ろうと思っていたのだけれど、なんせ、寝坊したもので。

冬の朝の海は、人が少なく気持ちが良い。たまに立ち止まって、深呼吸をする。これは日々の東京のランニングではできないことなのだ。なんせ、唯一のルールが「歩かない、立ち止まらない」だから。でも旅は特別にそれを許している。立ち止まって感じたい景色がたくさんあるからね。

ビーチにも少し、降りてみる。ヒルトンのおかげなのか、ビーチもえらくきれいに整備されている。でもそれでも、人はほとんどいない。なんだか少し、特別な時間だ。

さて今日は脚のトレーニングをがんばります。もうちょっと、カロリーを消費しなければ、まずい。

2/17(金)

今日はホテルの移動もあるので朝から走るのはどうしようかなやめておこうかなと思いつつ、日々たらふく食べては立派に育ってきた二の腕を見ながらちょっとだけ走ってこよう…と、思う。息子の受験期間に減った体重が、あっというまに元通りである。帰ってすぐにマッチョのパーソナルトレーニングが待っているのに、また「どうしたんですか!」って聞かれる。不良トレーニーだから。

昨日見つけた道を今日も走る。ヒルトンは少しずつ完成に近づいている。そうするとこのビーチ沿いの道もまた、混雑し始めるのかもしれない。いやどうかな、まあ、全体的にゆったりした島ではあるから、そんなに増えないのかもしれない。

ビーチ沿いの道は、意外とアップダウンがある。というか私が普段走っている道があまりにも平坦なのだ。ちょっとした坂道でひいひいしてしまう。まあ、なんといっても旅先ランなので、ゆっくりゆっくり、ねこを探しながら走る。そんな、旅先でまで、ひいひい走る必要はないのである。そうですよね。そうです。

3キロくらいでいいんじゃないかと思いながら(どんだけ意識が低いんだ)、まあ、一応5キロは走る。帰りにいつものファミマで、子どもたちにゆで卵を買う。たんぱく質はだいじ。

冬の海というのが私はとても好きだ。静かで、穏やかで、落ち着いている。人が少ない時期の島が好きだ。私はいつも、夏は神宮の近くに住んで冬は宮古島に住みたいと思う。宮古島は、冬が良い。(いや、夏も良いんだけれども、もちろん。)

今日もほとんど人にすれ違わず、ゆっくり走る。この町を走るのは今日まで。また夏にね。(結局夏も行く、たぶん。)

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