見出し画像

サウナ(湯船)+ヤクルトの試合でととのう。 【6/6練習試合 巨人戦●】

「サウナで野球が見られたらいいのに」というのがここのところ(というか数ヶ月前の)ささやかな願望だった。

サウナのテレビというのはたいてい、お昼の情報番組とか、たまにサスペンス再放送とか、そういうものを流している。(まあ、そういう時間帯に行っていたからだけど。)で、私はそれを見るたびに「これが野球だったらなあ…10分とかあっという間にたつのに…」と、思っていた。なんせ、オフシーズンで、野球に飢えていたというのもある。

さて時は巡り6月。6月だが交流戦ではなく「練習試合」をやっている今日この頃。(ああそういえば今年は福岡まで交流戦見にいこうわくわくとか思っていたのだった…。)私は、「自宅のお風呂で交代浴をしてととのう」という技を身につけた。おかげで晴れて、「サウナ代わりの湯船の中で野球を見ながら熱さに耐える」という状況に身を置くことに成功したわけである。

するとヤクルトは、ノーアウトから四球でランナーを出し、そのランナーは代走・重信に代わっていた。

重信は、謎の秘密兵器・黒いアームカバーのようなものを身につけていた。なんだよその秘密兵器みたいなやつ!と、私は湯船で叫んだ。なんだよそれ!

秘密兵器をつけた重信は、それを見せつけるかのように、ヘッドスライディングで盗塁を決めた。「なんだよその秘密兵器!」と、私は湯船で再度叫んだ。なんなんだあれ。

湯船の熱さのせいなのか、謎の秘密兵器のせいなのか、のぼせそうになっているのはもはやどちらのせいなのかわからない。いやそもそも、この試合がいつの間にか4-7と点差が開いていたせいかもしれない。それにしても4-7というのは、昨今のヤクルトにおいて最も「ヤクルトらしい」と言えるスコアではないだろうか。私はこれくらいの塩梅のスコアというのを去年いやというほど見てきた気がする。7失点。うむ、なんとなく見慣れた数字である。

(そのあとさらに1失点したけれどもそれも見慣れた景色と言えなくはない。そもそも長谷川くんは本当によくやってくれているのでたまに打たれるのは仕方ない。)

と、思いながら私は水シャワーを浴び(これが水風呂の代わりになる)お風呂の淵に腰かけて休憩し、ぼーっと今季のヤクルトについて考える。

「ととのう」というのはもはや宇宙に含まれたような境地なわけで(ちなみにサウナについて話し始めると人は宗教じみてくる、これは致し方ない現象である)、そこに至るまでの修行のようなものがサウナ(熱い湯船)なわけだが、ここに、そういえばこれだって修行だったじゃないかというヤクルトの試合を見るという行為が加わるとこれはもう本当に、悟りに達するまでの修行そのものではないかと思えてくる。

そもそもサウナにおけるテレビというのは、そのある種の「苦行」を少しでも和らげるため、熱さから気をそらすために存在していたはずで、その時間を結局「謎の秘密兵器をした重信がヘッドスライディングで盗塁を決める」というのを見ることに当てると、これはもう気をそらすも「苦行」を和らげるもなにもないわけだ。良い子はたぶん、サウナ(並びにそれに準ずるもの)中に野球中継を見てはいけない。

でも一方で、結局サウナだって、そのあとの「水風呂」や「休憩」を楽しみに、その熱さに耐えるのだ。結局、ヤクルトの試合を(多くは負け試合を)見ながら、たまにあるさいっっっっっこうの試合に酔いしれるのと、そう変わらないとも言える。だから私なんかは結局また、「とはいえ、熱いお風呂とヤクルトの試合の組み合わせ、最高だわ。ぐふふふふ。」とかなんとか言いながら、その10分間の修行コンボに耐えている。なんなんだろうなもう。

でもまあ間違いなく、いつまでもしんどいことが続くわけじゃない、というのは言える。サウナの後には水風呂と(私は水風呂は苦手なんですけどね)、大好きな休憩が待っている。

いいことばかりがあるわけじゃない。歓喜の輪の中に、誰もがいられるわけじゃない。そしていつもいつも同じ方向を見ているわけじゃ本当はない。でも、最高の瞬間だって、そこには確実に、必ずあるのだ。

できれば「最高の瞬間」を、今年も更新していてほしいなと思う。ぐっちのあのサヨナラは、本当に最高の試合だったけれど、それが今年どうかまた、更新されますように、と思う。まだもう少しだけ、前に進んでいられますように、と。

私の好きなあの人たちが、今年もたくさんたくさん笑ってくれますように。



ありがとうございます…! いただいたサポートは、ヤクルトスワローズへのお布施になります! いつも読んでいただき、ありがとうございます!