溶け合って、絡みついて、また離れて。

今日は電話する用事のために早起きした。眠い体を起こして、あ、あー、と声を出して、確認したいことを確認して、慣れない電話をかけた。

出ない。機械が何か言っている。営業時間外だと言っている。紙に載っている通りかけたのに、まだ始まっていないと言う。早起き返せよ。

時間と緊張を返してよ、ねえ、なんで違うこと書いてるの。昨日と言ってること違うじゃん。昨日は酔ってたから、ごめんって。ごめんってってなに。ごめんなさい、僕が悪かったです。ほら、そうやって言えば良いと思ってるだけの、言わされたごめんは謝罪じゃないから。本当にごめん、嘘つかないから。前もそれ聞いたし、もう何回目なの、何回繰り返せば気が済むの。

堂々巡りの会話みたいだな。こういう場合、客観的に考えるとどちらも悪い気がする。昨晩、酔いのせいで嘘をついた彼と、それを強く咎めすぎる彼女。

間違えたなら優しく受け流す彼女くらいが最高だ。

営業時間が始まってからまた電話したけれど話し中で結局繋がらなかった。

ここにかけてねって書いてるじゃん、だからこちらから歩み寄ってるのになんで逃げるの、あなたはずっと何も言わないじゃない。ほら、またそうやって無言でやり過ごすんでしょ。もういいよ、話にならないし、話が出来ないなら終わりにしよう、ね、今までありがとうね。これからはちゃんと意思疎通だけはしたほうがいいよ。

そんなやりとりでもう電話をかけるのもやめにしちゃうぞ。

わざわざ向こうに合わせて1時間ごとに電話をかけ続けるのも面倒なので、昼から外出。髪型をいつもと変えて、帽子を被ってみた。

お気に入りの服を着て自転車を漕いだ。

熱と風と光と影とがそれぞれ居場所を分け合って、それでいてお互いが混ざり合っていた。鳥も虫も花たちもみんな出来るのに、人間だけが苦手みたいだ。もう少し優しくなれたら良いのに。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?