これくらいの諦めなんて、まだまだ生温い。

昼間はあんなに眠たかったのに夜は眠れなくて本を読んでいた。本を読んでいたから眠れなくなったのかもしれない。

明日読む分を残して閉じたけれど眠れないから、好きなバンドマンの過去の日記を読んでいた。別のことを調べたら偶然見つけたから読んでいたのかもしれない。

読みかけのページがあることは覚えていた。今日開いたところは最初みたいだったから初めから読み進めた。日記に出てくる曲を聴きながら読んだ。パンクやフォークを聞いていた。彼が過去に聞いていたロックは聴けなかった。当時のバンドはもうないのかもしれない。

確定できないことだらけだけど夜中だから仕方ない。日記の中の彼は今の自分より若かった。いつの間にか追い抜いていた。

なんかもう全部が手遅れな気がした。今がある理由がちゃんとあった。嫌われても避けられてもちょっと落ち込むだけで、それより自意識の方が勝っていたところに安心した。表現者は気違いだって映画で言っていたと書いていた。

奇天烈でも珍妙でもなく気違いって書くよ。正直によりも、嘘っぽくないように書くよ。

最近は変なことをしたいと思っている。変な場所に変な話をしながら行って、変な遊びをして変な感覚のまま帰る。そんな生活をしたいと思っているんだ。そうすればいろんなことを忘れられそうだし、いろんなことを覚えていられそうだと思った。好きな人といられればなんでも良いんだろうな。

昨夜なんて引くほど泣いていたのに、今夜はその原因を案外あっさり割り切れたことに引いている。割り切るとか切り替えるとかそんな器用なわけじゃないから、単純に気持ちが入っていなかっただけなんだろう。悔しさのない嫌なことなんて嘘なのかもしれない。苛立ちや落ち込みの悔しい部分はちゃんと残っていて、それは涙にならないからまだしつこく残っているんだろう。

いつだってないものねだりだけど、何をするにも少しずつ手間と時間がかかるあの時代に生きてみたかった。簡単に早く手に入るものなんて、すぐに出ていってしまうから留まってくれない。なるだけ残したくて言葉にするんだけど、偽物かもしれない過去になってしまって味気ない。そもそも味を知らないから、当時もその前の時代と比べて同じような感覚だったかもしれないし、不便で堪らなかったかもしれない。

夜中の暗闇だから見える世界もあるし、人工的な灯りに安心することだってあるだろう。もうすぐ朝になるけどその前に寝たい。自分は眠れなくてこのまま死ぬんじゃないかとか思ったことないけど、好きなバンドの曲を聴く深夜は死んだら味わえないからせめて死ぬまで覚えていたいと思ったよ。

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