台風の原因なのに無邪気な目にもなれる彼女は。

今日は早起きした。寝不足だったけれど、行く時に眠れるから別に良かった。

午前中の予定を済ませて、午後は旅に出た。どこに行ったって知らない土地なんだから遠くても行ける。

圧倒的なものを見て、感想なんて書けなかった。準備してきた言葉は全て消えて、想像していた遥か上の結果だった。

初めて気になったときからずっと夢中だった自分を褒めてやりたい。興味を失わないでくれてありがとうと言いたい。

とにかく魅力的だった。

もっとやり方もあっただろうと言葉にしている人もいたけれど、自分には満点だった。見慣れていないから褒めるしか出来ないのかもしれないし、捻くれているから褒められるより貶される方が嬉しいかもしれないけれど、本当に良かった。格好良かった。

はじめに出てきたときの表情はちゃんと緊張していて固かった。それが良かった。心があると感じられたから、どれだけ性格が悪くてもまだ振り回されたいと思った。

こんなに全部が最高なものはなかなか見られない。これまでもこれからもなかなか見られないと思う。本当に来て良かった。

背中にかいた汗を見たら、帰りにバス停まで歩きたくなった。時間に余裕があったし、何より自分ももっと体を動かして神経を尖らせなければならないと思った。

地図を見ながら歩くけれど、途中まで歩いて検索結果の到着予定時刻より相当遅れていたから近くの駅から電車に乗った。結局、最寄り駅から乗るより高くなってしまった。

この町はコインランドリーが沢山あって、熱帯魚屋も夜までやっていて、家の前で煙草を吸っていたり、自転車を漕ぐ人がいたり、夜の路地が心地良かった。

町を出る前だからまだこの町と呼べる。この町に住みたくなった。でもきっと住んだら住んだで人は多いしうるさいし、家賃は高いし困るんだろうな。

彼女がこの街を含めて生活していると思うととても愛おしくなる。実在しているだけで嘘みたいなのに、生活が感じられると同じ人間なんだと実感する。もっともっと好きになっちゃったなぁ。でもこれ以上のものなんてないような気がして寂しくなるよ。

最後に残ったやりたい事だったこれも、もう全て終わらせてもいいと思えるほどに圧巻だった。それくらい強い日だった。あの顔も声も、表情も動きも、腕の筋も、肌の質感も、本当に何も忘れたくない。


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