スギゴケの生育環境を考える
コケはスギゴケ。
その杉のような容姿で整然と立ち並ぶ姿は、まるで針葉樹のジオラマを見ているような気分に人を陥らせてくれる。
庭園などでもスギゴケは多く使われており、メジャーなコケの一つである。
そんなスギゴケ。
山にいけばどこにでもあるよな・・・と高をくくっていたのだが。
ない。
ある場所に行けば「いちめんのスギゴケ」なのだが
ない場所では1コロニーを探すのもやっとのことだったりする。
スギゴケが欲しい
最近
コケリウム教室を始めたこともあり
安定してスギゴケを得たいという
得体の知れない欲求が発生しており
ネット上の情報は参考になるものの
先ずは一次情報が得たいと思い
つきましては
山を歩いて
スギゴケの発生環境を観察し
その要因を抽出し
その要因を自分ちのヤマに再現する
ことを目標に…(後づけ)
要は
ぶらっと歩いてスギゴケを偶然見つけたので観察して考えた記録をここに記します。
自生地の環境
コケは植物なので、自生環境での重要な要素は
「光環境」
「水環境」
「土壌環境」
の3つが重要な要素になると思うので今回はその辺りを考えながら歩きました。
光環境
この写真はスギゴケの生育環境をかなり物語っている。
以下気付いたポイント
・4m程度の間隔に間伐されたスギ林
→強度の間伐がなされたため、林床まで直射光が差す。
スマホ版の照度計で照度を計測したところ、曇天なのに7000〜14000 lxs くらいあった。
・下層植生が豊富
→間伐により林床に光が増えたことの1番の証人は下層植生。草です。草。
草は24時間365日その場にいるので、その日の天候に関係なくその場の年間を通した明るさを知ることができる。暗い間伐のされていない林は本当に草一本ないに近い。
水環境
水分環境はどうだろうか。
山の中でよく発生していたのは林道などのたいらな場所という印象。
たいらな場所=水が豊富な環境 とは考えやすい。
しかし山全体を見たわけではないので、きっと斜面に生えるスギゴケもたくさんあるのではないかと想像する。
林道の中の微地形を見ると、水の流れたような場所には生えず、雨でも水が集まらないような標高の高い(といっても数cm…)こんもりとした場所(車の轍の間のような場所)を好むように見えた。
土壌環境
どうも茶色い粘土のような土壌を好んで生えているように見受けられた。
林道の切土の粘土質の土壌にも良く生えていた。
石の上に着生していたり、アスファルトに生えていたり、、といったことは見たことがない。
粘土質の土壌は、粘着生がある。
もしかしたらスギゴケの胞子が定着しやすいのかもしれない。
それはなぜか?
スギゴケの胞子の形状とか関係しているのかな。これはよくわからない。
直射日光の元で水分を保っていられるのが粘土質の土壌という見方もできる。
石は焼けるが粘土は水分を保持るよ、と。
まとめ
谷合の湿気が通り抜けてゆくような、下草が生える明るいスギ林に、水分保持力が強めの粘土質な土壌を並べ、スギゴケを蒔けば、生えるのでは?
具体化
イネの育苗用トレーに新聞1枚敷き、粘土質の土壌を満たし、蒔きゴケする。
時期は春か秋。
土壌の代わりの素材
土を使ったコケの生産は土を消費する。
少量では問題にならないかもしれないが、土がなくなってしまう問題が起きる。
(実際に芝生生産の現場ではそのような問題が起こっている)
なので土に代わる培地があればいいなと思い、候補を挙げてみる。
・もみ殻もしくはその炭(くん炭)
→地域内に豊富にある。草の種子が混入する恐れ。くん炭は多孔質で良いかも。
焚き火後にコケがよく生える光景も何度も目にしたことがある。
・腐葉土
→虫の温床。 保水性は良
・水稲育苗用のロックウール
→保水性と空隙の多さが魅力。無機質。
・ココピート
→有機質。水分も保持するが、乾ききってしまうと水を弾く。
・真砂土
→これは土だが安価に補充できる。
養分少なく、排水性と保水性まずまず。
なにが良いか、やってみないとわからないのでやってみます。
結果が出るのに時間がかかるでしょうが、やってみたい。
以上、スギゴケ自生地からの報告でした。
スギゴケのコケ写
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?