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小説『恋に至る病』斜線堂有紀

小説『恋に至る病』斜線堂有紀


「こんなにうまく行くのかな」という気持ちにはさせられたけど最後まで面白かった。

恋愛とは何かと考えさせられる面もある。

刺激強めの軽く読める本探してる人にオススメ。

ここからネタバレ

主人公の「僕」へのいじめを目の当たりにした少女が、ブルーモルフォというゲームによって、人を操り死に至らしめる。

(いじめの首謀者に逆らえずに流される人たちのせいで、好きな人(僕)がひどい目合わされたことが許せない、その人たちを排除して、淘汰していこうという理由。)

こんなにうまくいくだろうかと思うが、
人は案外流されやすい生き物だと私も痛感している。特に中学高校は、流行に置いてかれる恐怖のようなものが誰しもの心の中にあった気がする。

操っていたプレイヤーに寄り刺されてしまう景。

以前、自殺を食い止めた件から「景がいると死ねなくなる」という理由。皮肉な展開であり、景にとっては誤算だったか。
「自分が死ぬために心の咎である景も殺す」選択をした善名美玖利はある意味で一番景からの影響を受けていたのかも知れない。発想がサイコパス。

救急車を呼ぼうとスマホと一緒に景のポケットから出てきたある物を見て、「僕」は、救急車を呼ばずに景を見殺しにする。

「僕」は警察に自分が首謀者であると虚偽の告白をして捕まる。

最後の最後で「ある物」の正体がわかる。
いじめのはじまりでもある失くしたと思っていた「僕」の消しゴムだった。

自分を酷い目に合わせた発端は景であると、頭では分かっていても、心では景のヒーローで居続けたい「僕」は、自分が首謀者であると主張し続ける。
この矛盾が洗脳状況なのかも知れない。

何年も信じていた人からの洗脳は容易く解けないのだろう。見殺しにすることは出来たので、消しゴムを見た瞬間から好きではなくなったんだろうな。

日本には「アバタもえくぼ」という言葉があるが、いくらなんでもアバタが大き過ぎるなとか呑気なことを思った。

ブルーモルフォが、蝶々なのは、バタフライエフェクトからとったのかな。

ちょっとした発言や行動から波紋が広がって大きなことに発展していく感じは好き。
また「若い頃の恋愛」についても考えさせられた。






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