その人自身の表現と表象の間、問題―VOGUE JAPAN2021年3月号

VOGUE JAPANの2021年3月号の巻頭インタビューは、モデルのエリー・ゴールドスタイン(@elliejg16_zebedeemodel)であった。彼女がどのような表象として紹介されているのか興味深く、本誌を手に取った。

「インクルーシブ」という言葉から自由になることはできなかったが、インタビューからは彼女自身の思いが伺えるものであった。そう、彼女自身が何を表現するのかということと、他人が彼女をどのように表現するのかということはまったく異なる。

「表象-文化的な形で自分自身を見ること-は重要であり、それは人々の人生を変えます」(RDR p22)

表象とは、ある文化に生まれ育ったものが身につけた知識や経験で、その対象を捉えることである。だからこそ、その対象が異なる文化に属する時には齟齬が生じるであろう。

だから、展示をつくる時、その表象された対象の気分になってもう一度点検することはある。しかし、それでもその対象になり得ることはない。

この問題の解決に、当事者(しょうがい者や国籍の違い、宗教的マイノリティなど)と展示をつくるということがこれまで成されてきた。あるいは一歩進めて、当事者を雇用するというあり方もあるであろう。しかし、それも表象の一形態にすぎない。

また同時に、過去に博物館はこのような表象をつくりだしてきたという展示も行われてきている。私は、この視点が大切だと思う。




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