戦争加担と自由 ー秋野有紀『文化国家と「文化的生存配慮」: ドイツにおける文化政策の理論的基盤とミュージアムの役割』

 図書館の自由宣言には、戦中の図書館が「思想善導」を行ったことへの反省がある。(だからこその自由)
 博物館には自由は必要であろうか。つまり、文化とはこれこれであると市民の側が決める自由はあるのであろうか。博物館で展示されているものすなわち、文化になりはしないであろうか。

 教育基本法の制定当時(昭和22年)の前文にある「文化的な国家」という言葉は、もともとは「文化国家」だったのだそう。CIEがクレームをつけて「的な」が入ったのだとか。「文化国家」というと、ナチス時代の退廃芸術といった政策に結びつくからというのが理由である。国家がこれは文化である、これは文化であると決めて、優遇したり、冷遇することにつながりはしないかという警戒である。だからこそドイツでは、文化政策に関する制度的、理論的枠組みが発達しているという。


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